もちろんブラジルにもやって来ました、新型(ブタ)インフル。

By: Kazusei Akiyama, MD


2009年8月

今月のひとりごと:「もちろんブラジルにもやって来ました、新型(ブタ)インフル。流行るだろな、ここでも。出だしが大変だったのでこの話にはみんな感情的になっているのが怖い。」

またインフルエンザのひとりごとになってしまいました。これだけ世間を騒がせているのだから仕方がありません。7月の中旬からサンパウロでも流行してきました。いろいろ問い合わせもあるので、もう一回このテーマです。「特に邦人の場合、日本が大騒ぎになったので、心配なのではないかな。実際出張で日本に行ってみると、まだ至る所に手指消毒用のアルコールがおいてあるし、警戒を解除するきっかけがつかめてないのかも。」

前にも書きましたが、インフルエンザウイルスは、低温度+低湿度+暗い所で繁殖能力が出現します。だから、今冬期に入っている南半球で増えるわけです。蓋を開けてみれば、季節インフルとあまり変わらない新型インフルですが、強度の感染力をもっているので、流行ると思います。インフルに関する言葉がいろいろ報道され、結構みなさん混乱されているようなので表1に問い合わせの多いものをまとめてみました。

 

 

よく混乱されがちなのが、『毒性の強さと感染力の強さと致死率の高さが正比例する』なのですが、これは間違いです。毒性と致死率はそうですが、感染力とは関係がありません。つまり、病原性が低いウイルスがものすごくうつりやすいこともありうるし、反対に高病原性で感染力や弱い状況もあります。

「前者が今回の新型インフルで、後者は現時点の鳥インフル(ヒトに対し)にあたるな。感染力が強いから、病原性が強いと勘違いしている間は、それなりに注意を怠らないから、ビクビク暮らすのは不幸だけどウイルス予防には有効かも。でも、よくないのが、病原性が低いから大丈夫と油断をしてしまうことだな。感染をすることによって、つまり、ウイルス遺伝子情報の増殖をする回数が増えるほど変異の回数も増えてくるから。だから医療システムがいい加減な南半球の冬を経て、今年の北半球の冬に第二波で毒性が変わっている可能性が十分あるのだな。」

今回の世界的大流行は元々あった鳥インフルの流行に対するマニュアルのスイッチを入れてしまったから大騒ぎになったわけですが、行政も医療関係者も一般市民も感情的になってしまった感があります。例えば『フェーズが高いと病原性が高い』と勘違いされがちで、政治的な圧力で世界保健機構の発令が遅れたことが挙げられます。

「それ見ろ変異したぞと、増殖能力が高まる変異が発見されたと中国が発表したけど、実は解析ミスだったのもその類だな。ブラジルで感染者が増えているのに、チリとアルゼンチンに渡航するなと言った政府勧告とか。」

現時点では新型インフルは普通の流行性感冒と考えてよいでしょう。もし熱が出れば冷静に対応し、ちゃんと、普通の医療機関を受診するのが大切とこの筆者は思います。パニクって単なる熱あるいは流感で病院に殺到すると、いざ重症例(本当に入院や検査、タミフルなどが必要なケース)の対応が手薄になります。今サンパウロでは抗体検査がパンク状態になってますので、結果が出るのが1週間以上かかって、結果自体が意味をなしません。

「免疫のないウイルスは本当に怖い。あまりデータがないのだが、新世界発見後、アメリカ大陸の原住民虐殺の一番の原因は単なる風邪のウイルスであった説がある。ヨーロッパから白人に初めて持ち込まれていとも簡単に死んだらしい。このような事実があるから、免疫力をつける季節インフルワクチンの接種は意味があるのだな。反対に、まだ毒性が弱いうちに感染するのが正に新型インフルの免疫がついて今後一番安全かも。」

外出後の手洗いうがいは忘れずに!

タミフルやリレンザの備蓄があるようですが、間違っても予防投薬しないように!必ず医者の指示で服用してください。