日焼け止めを過信すると怖いぞ

By: Kazusei Akiyama, MD


Wave and Sun. Praia Cacimba do Padre. Caju©2009

2010年01月

今月のひとりごと:「日焼け止めを過信すると怖いぞ」

夏になりましたね。今月は日焼けの話です。121日付けのブラジルの全国紙E新聞で「市販の日焼け止めの消費者テストをしたところ、2商品しかパスしなかった」といった記事が記載され、物議を醸しました。日焼けが好きなブラジル人でも気になる話題なわけです。なにしろ 米国では過去40年の間に皮膚ガン(註1)の発症率が3倍以上であるとのデータが示すように、オゾン層の破壊など環境の変化で太陽光の強さは年々増してきてるように思われます。日本人(黄色人種)の皮膚癌発症率は欧米白人(ピンク色人種)ほどではないですが、リスクが増えているのは間違いないでしょう。ほとんどの皮膚ガン(95%、基底細胞癌)は比較的予後良性ですがならないにこしたことはないですよね。 皮膚ガンもさることながら、極端な日焼けは皮膚の老化と直結します。

  • 註1.皮膚ガンの種類と特徴
    1. 有棘細胞ガン:表皮の有棘層から発生する。UVBの影響が大きい。比較的日本人に多い。転移あり。
    2. 基底細胞ガン:皮膚の基底層から発生する。ほとんど頭部に発生し、加齢と共に増える。ブラジル人はほとんどこの種類。転移はしない。
    3. 悪性黒色腫(メラノーマ):メラニン色素を生成する細胞から発生する。紫外線とあまり関係がない。非常に悪性で早い進行と転移が特徴。

「ここブラジルでも例外ではなく、現時点で一番よくあるガンなのだ。当地のモレーナな生活スタイルを続けると、ガンになる可能性ではなく、確実に人生のある時点で皮膚ガンになるのだな。ほとんどが命取りにならないからあまり深く考えてないぞ。なのでブラジル人は皮膚老化のスピードが恐ろしく早い。40代でぼろぼろ、ざらざら。30代でも遠くからの見た目がパスする程度かな。 日焼けに関する概念が違うブラジル人と日本人の女性を皮膚を比較すると一目瞭然だな。ただ、ブラジルのビーチに行った日本人が服を着込んで日焼け止め対策をしているのも異様に目立つし色気よりお肌が大事なわけですな。南米は特に紫外線が強いのはわかるけど。 どこかに良い妥協点は無いのですかね?」

気になる日焼け止めのパフォーマンステストですが、UVカット効果の持続時間や、耐水性・耐熱性に問題あり、効果自体が無かったわけではありません。結論からいうと、どれだけ良い商品でも時間がたつにつれて効果が減ってきますので、「まめに塗り足す」のがポイントになります。ブラジルで市販されているFPS30(註2)で25レアル前後の平均的なものであれば、2時間以内おきに塗り足す必要があります。この季節、海水浴など野外での活動とともに日焼けの機会が増えますので、特にお子さんたちには実施してあげてもらいたいものです。

  • 註2. FPS 日本のSPF値と同じ。値が大きいほどUVカット効果が大きい。

FPS値が高いものは値段がやたらと高いし、これは物理コーティングしているのでは?と思うほど粘っこくて使いにくいし、値段に見合ったパフォーマンスがあるのだろうか?2時間たつとどうせ効果が半減しているのだから、使いやすいFPS30あたりを何回も使ったほうがよいのではないかな。30以上を使わないといけない人は、日光浴はするなよ。」