By: Kazusei Akiyama, MD
2012年04月
今月のひとりごと:『ストレスは不安障害の原因の一つなのだ』
前月のブラジルでの運転のひとりごとは大変反響がありました。「そのとおり、ムチャクチャだ」で自身の体験談の様な賛同も結構あったのですが、それ以上に多かったのが、「それで怖い。外出するのも疲れる」の様な恐怖の意見です。海外で生活するにあたり、不安になる要因が多いほど健康にもトラブルが出てきます。東洋では「すべての病は気から」というように、気がうまく回らないと病気になります。このような場合は例えばストレス関連障害と呼ばれる精神および行動の障害と関連します。うつ あるいはパニックになってしまった、というやつですね。
『これらはいわゆる精神科領域で「不安障害」と分類されているのだな。日本人も含み、 一般人口の25%がこのような障害があるという調査もある。うつ状態。(註1)(註2)』
- 註1: ①抑うつ気分(気分の落ち込み、いやな気分、空虚感、悲しさなど);②興味・喜びの喪失;③食欲や睡眠の増減
- 註2:躁鬱病(最近では双極性感情障害と呼ばれる)のようなかなり重篤な症状がでるものは「気分障害」に分類されている。これは生物学的な欠陥がある疾患、つまり、神経伝達物質の不足・不良などのために病気になるのではないかという説が最近強い。
地域医療や一般内科の診療の実態ではうつ状態(註3)がよく見られます。今回のブラジルの交通が怖かったり、あるいは危険なため、運転できない、外出できないためストレスが溜まるような生活状況では誘発される要因に十分なりえます。ただ、反対に精神的症状をきたす器質的疾患(註4)もあるので、一概に精神病であるとは言えません。精神的症状がある場合、必ず器質的原因を除外した上でしか精神障害とは診断できません。器質的疾患であれば、原因を治療すれば(可能であれば)うつ状態自体も良くなります。精神障害であれば、必要期間投薬したり、カウンセリングを受けたり、東洋医学的治療をしたり、いろいろアプローチができます。
- 註3:一過性のストレス性障害(急性ストレス障害、適応障害、心的外傷後ストレス障害など)、自律神経失調症、パニック障害、恐怖症性不安障害、心気障害、心因性や内因性うつ、など。
- 註4:一番多いのが甲状腺疾患。副腎や副甲状腺疾患。脳血管障害。パーキンソン病。脳腫瘍。膠原病。重金属中毒。
『うつ状態やパニックの症状はつらい。日本人的に根性論で克服するのもいいけど、治療したほうが楽じゃないの?引きこもったり、ブラジルに居る境遇を呪ったりしてないで。とにかく症状が2週間以上つづくようだとなにかがおかしいから医者に診てもらいましょう。』
ちなみにブラジル人の運転で根本的に一番ちがい、かつそれが分かってないと危険であるのが、「黄信号」です。日本では黄信号の意味は「もうすぐ赤になりますよ、止まる準備をしましょう」ですよね。一応ブラジルでも規則上そうなのですが、実状は「 もうすぐ赤になりますよ、急げば間に合うぞ(註5)」なので、黄信号イコールスピードアップなのです。黄信号になるとかえってスピードを上げてくる車が多いので、これは覚えておいたほうが良いと思います。
- 註5:vai que dá とポル語で言います。