サンパウロ在住は運動不足になりやすい。

By: Kazusei Akiyama, MD


2012年11月

今月のひとりごと:『サンパウロ在住は運動不足になりやすい。』

日本では108日は「体育の日」でした。運動会の季節でもあります。国民の祝日に関する法律では体育の日の定義を「スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう」とされています。この場合、「したしむ」とはスポーツ観戦するのではなく、参加することですよね。運動の重要性は今更宣伝する必要はないと思いますが、しかしかえって当たり前すぎて日常では忘れがちになるのではないでしょうか?

『まずなぜ運動しないといけないかというと、「人間は植物ではなく動物であるから」だな。当然でしょう!とお叱りの声が聞こえるようだけど、簡単にいうとそうなのだ。つまり、動く事が大前提の生物であり、すべて生理現象はこの前提に準じている。動かないとちゃんと体が機能しませんよ、ということだな。以前にもひとりごとした低体温などはその例で、運動しないから体温が正常範囲で維持できなくなり、今度はそのため代謝や免疫機能が正常に働かなくなる。』

それでは運動不足の定義は?というと、これがはっきりした科学的なものがありません。一般的には「130分以上の運動を週に3回以上」で解消(註1)されると言われます。医学的には一番有名な説は「週間消費カロリーと摂取カロリーの差が2000kcal以下の場合、運動不足と定義」(註2)されるもので、この2000kcal以上を週3回以上に分けて運動で消費するのが理想と考えられてます。

『この2000キロカロリーというのが結構多いのだな。仮に4回に分けると、1500kcalになるのだが、時速6キロの早歩きで2時間くらい運動しないと消費しない。きついですな毎日、つまり7回に分けると約300kcalで、80分くらい。これもできるかどうか?ただ運動イコールカロリー消費ではなく、関節を動かす、柔軟や 筋力を維持する、有酸素活動をするなど、メニューの内容も重要なのだ。仮に無酸素運動である筋トレを300kcal分毎日してもいわゆる運動の効果は100%ないぞ(註3)。』

一番手っ取り早いのが歩くことなのですが、サンパウロに住んでいると自動車移動が多くなるので(註4)、それもしなくなります。よほど「気にして」、「時間もかけ」、運動に取り組まないと、あっという間に運動不足になってしまうということですね。このコラムの20人の読者様は運動充足してますか?(註5


1:「運動充足」とでもいうのでしょうかね。

2:ハーバード大学卒業者を対象に研究されたもので、1986年にNew England Journal of Medicineという重要な医学雑誌に記載された論文で定義。この2000kcalは成人男性の数値であったが、その後の調査で女性も同じ数値であると発表されている。この研究では運動不足の男性はそうでない群と比較したら各年齢帯で死亡する確率が31%高いことが判明した。

3:秋山説では運動の一番の目的は「血行を良くする」です。これには有酸素運動が必要。

4 公共交通機関が不足;治安の問題;高低差がある地形などのため。

5:運動不足になると、肥満になりやすくなる。メタボにも。そこから糖尿病や循環器系の病気なども。精神病とも関係あるぞ。痛み(肩こりや腰痛)も。不眠症も入るな。また、骨祖そつ症と大関係がある(これは別途ひとりごとします)。