By: Kazusei Akiyama, MD
2010年10月
今月のひとりごと:『海水浴をして免疫力を高めよう』
このコラムの22人の読者様、皆様お元気ですか?先月はお休みをいただきました。休暇中にはノルデスチ地方の某所でダイビングを楽しんで来ました。久々に海に潜って、その時つくづく思ったのが「人間の免疫力はすごい!」でした。なぜだか説明します。一度ダイビングしてみるとわかるのですが、どれだけ美しくて汚染のない海でも、明らかに大変な量の生物、微生物、浮遊物があります。魚介の生活代謝物はあるし、ワカメのような藻類や、辛うじて肉眼で見えるプランクトンやクラゲ類、見えない微生物、海水に溶けているミネラルなどなどです。 海水を舐めてみると色々な味がわかります。 それだけ「汚い」ところに入っていって大丈夫なのが今回のひとりごとです。
『そう。大丈夫なのだな。透明度の高い海に潜ると「汚い」のがよ~く見えるぞ。とにかく潜水作業そのものが忙しいので始めは気にもならないのだが落ち着いてくるとゾッとするぐらい生物がいるのだな。目の前できれいな熱帯魚がブリッと排泄してるし。でその中をゆらゆら移動している間に思ったのが、これだけ周りが「異物」だらけでも人間病気にもならないだけの免疫力をもっていることだな。抗菌抗菌といろいろあるが、あれはいったい何なんだろう?ダイビングしながら思ったのが、アトピー性皮膚炎に海水浴療法なるものは(註1)、これは適度な汚れが効果があるのではないか?海水には塩分を始めいろんなミネラルが溶けているのでそれがアトピーの皮膚に良いのではないかとされているが、筆者はそうは思わない。その証拠に塩水療法(註2)が無効の場合でも海水では有効例がいくらでもあるのだな。秋山説は二つ:①適当に汚い水が免疫力を高め、かつ正しい作用に導く、②海水浴は温かい所で行うので冷えが改善される(註3)。日本の小学生のアトピーの有病率は約10%とされているが、場所によっては3人に1人も有りうるそうだ。後進国では無い疾患だな。ブラジルでも少ないぞ。また、一昔はアトピーの85%が成人すると治っていたが、最近では大人になっても20%しかなおらないといったデータもある。これはアトピー要因が増えたのと、治癒する機会が減ったのと、主にステロイド使用で治るのが遅くなっている(あるいは治らなくなっている)のではないだろか?この内、治癒機会として海水浴が重要であると思いたい。アトピーでなくっても免疫には絶対にいいからこれから暑くなる季節なのでどしどし海に行ってもらいたいな。(註4)』
- 註1:海水療法または海洋療法。正式にはタラソテラピーと呼ばれ、20世紀の初めヨーロッパで始まったレキッとした医療行為。でも日本では「タラソ」は癒し系・エステっぽいアプローチ。
- 註2:食塩とミネラルを溶かした水で身体を洗う方法。
- 註3:東洋医学的に診ると、アトピー患者さんは総じて冷えているのだな。炎症がおこってほてっているのに。いわゆる虚熱なのだ。これを西洋医学ではさらに冷やすので絶対によくならない。
- 註4:日焼けには注意しましょう!