By: Kazusei Akiyama, M.D., Ph.D.
新型コロナウィルス感染:ブラジル・サンパウロの現状と対策
文責 医学博士(疫学)秋山一誠
2021年4月01日更新
サンパウロだけではなくブラジルでは、今、「どうしたらコロナに感染しないか」から「コロナに感染したらどうのように対処するか」や「コロナ感染を最小限にやり過ごす方法」を考えないといけなくなったと思います。
2021年3月26日更新
今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字(ブラジル):
感染者:12.407.323人(その内サンパウロ州、19.1%)
死亡者:307.326人(世界の11%;その内サンパウロ州、22.6%)
ワクチン接種数:1.656万人が1回以上接種
ブラジルは現在去年より激しい新型コロナウイルス感染第二波の真っ只中です。次のグラフはコロナ禍開始からの死亡者数を表し、明らかに2波が認められます。
死者数は10日前より週平均一日2000人以上を記録しており、本日は3600人に達したと報道されてます。
サンパウロ州は3月15日より次の図が示すように規制緩和全部後戻り状態で現在「緊急フェーズ」と呼ばれてます。また、サンパウロ州の緊急事態宣言は4月18日まで延期すると本日発表されました。
サンパウロ州全域でコロナ病床使用率が10割近くになっており、コロナ関連以外でも緊急入院が困難になってきている状態です。選択的手術や入院は中止になってます。都市封鎖を実施する行政府も複数あります。サンパウロ市では人出を規制する措置として、今年と来年の祝日をかき集め、今日26日より10連休になります。また、3/15日より、夜間(8時〜5時)外出禁止令が発令されてます。
この状況は、去年の年末年始の外出・夏季休暇の移動がアマゾンから始まった変異株の全国拡散が重なった結果と考えられます。
サンパウロで1月17日に始まった予防接種は90歳以上の高齢者から順次接種が進み、今日現在69歳以上が対象になってます。サンパウロ州の接種数は547,4万回、中国シノバック系のコロナバックと英国アストラゼネカ系のオックスフォードが使用されてます。サンパウロのブタンタン研究所が中国産原料を用いたコロナバックを製造してますが、来月より完全国産のワクチン(名称ブタンバック)の臨床試験に入ります。
ワクチン接種をしてもまだ安心できる状況ではありませんが、接種していない所よりは良いと考えます。
サンパウロでは引き続き「更なる自衛する」しかないと考えます。
新型コロナウイルス感染症は発症した場合、初動が重要です。当院は連休中でもコロナ対応してますので、少しでも症状や疑いがある場合、至急受診してください。
秋山一誠診療所では外出をできるだけ減らす目的でオンライン診療を積極的に実施しております。感染の可能性のある患者様は初診でご来院いただいた後はスマホのビデオ通話機能を用いてフォローしております。
また、疫学の知識を駆使した、新型コロナウイルス感染症が心配なブラジルの毎日に対応する医療アシスト「コロナ禍対応ホッとライン」を開発しましたのでご利用ください。
- 秋山一誠診療所 ご予約・ご相談 受診予約の際には「発熱」の有無をお知らせください。
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新型コロナウィルス感染:ブラジル・サンパウロの現状と対策
文責 医学博士(予防医学)秋山一誠
2021年1月24日更新
サンパウロ州では再度コロナ感染拡大が増加しています。22日に発表された緩和地図は次のように黄色フェーズの地域がなくなりました。
入院状況も逼迫してきているため、次の措置が少なくとも2月8日までとられる事になりました。規制強化の発出は25日からです。
- 緊急でない手術の中止。
- サンパウロ州でコロナ専用病床を750庄設置。
- 夜間(8時〜6時)の外出規制。
- 週末の外出規制、公園の閉鎖、イベントの禁止。
- 2月より予定されていた登校の中止。
以上のように、サンパウロは全体的に規制が強化されましたので、特に外出に関しては注意が必要です。
2021年1月20日更新
今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字(ブラジル):
感染者:8.511.770人(その内サンパウロ州、19.8%)
死亡者:210.299人(世界の10.2%;その内サンパウロ州、23.8%)
前回の”現状”より9週間の間にブラジル全体では感染者が1.45倍、死亡者が1.27倍になっており、感染が再度拡大している状況です。サンパウロ州政府は、これを「第2波」と呼んでます。世界の死亡者の1/7から1/10くらいになったのは、ブラジルが減っているというわけではなく、他の地域で増えているからという事になり、世界的にもコロナウイルス感染症が収束に向かう方向に無い事が示されております。
サンパウロはほとんど全域で感染拡大状況が悪化しています。図はサンパウロ州政府が去る15日に発表した緩和状況です。12月には一地方を除き、フェーズ3の黄色であったのが年があけてからは大半がフェーズが後退してます。サンパウロ市はまだ黄色ですが、屋内で25人以上の会合は禁止になりました。サンパウロ州で覧られるのは、地方(田舎)では大規模や小規模の会合、特にパーティーの開催が恒常的になってきており、そこで感染した青年・中年が自宅に持ち帰り、高齢者に伝染しているパターンのようです。
ブラジル全体も拡大していますが、同じようなパターンとは言えません。特にアマゾン地方のマナウス市が再度医療崩壊するレベルの感染拡大がおこっており、これは年末年始に発見された感染力が従来より強い新型コロナウイルスの変異種のためであろうと考えられます。マナウスの医療状態は最悪になっており、人工呼吸器につなぐ酸素の供給が不足し、そのため入院しても死亡するケースが多数でてます。変異種は現時点ではアマゾン州のみで確認されてますが、医療崩壊の緊急措置として、マナウスで治療できない患者を州外に”輸出”してますので、他の地域にアマゾン型のコロナウイルスの変異種が伝染するのは時間の問題と考えられます。
ヨーロッパでも11月〜12月にイギリス型のコロナウイルスの変異種のため感染拡大しており、そのためブラジル政府は12月末より、ブラジルに外国人の入国を禁止しました。入国可能な本国人や入国できる外国人(永住権を持っているなど、条件あり)全員にブラジル到着航空便に搭乗の際、搭乗72時間以内に実施されたPCR検査陰性を要求するようになりました。ブラジルでは帰国後の隔離はなかったのですが、イギリスより帰国した人は2週間の隔離が要請されるようになりました。
ブラジル全体のコロナ関連患者・死者の1/4〜1/5を出しているサンパウロ州はかなり早い段階でワクチン接種の政策を決めており、不活性ウイルスワクチンである中国製のコロナバックの手配を進めてきました。政争の道具にされるなどの紆余曲折がありましたが、このワクチンが認可された1月17日より接種を始めました。現時点では、医療従事者と原住民族に接種し、次に高齢者が対象となり、その次に既往歴がある市民が対象と発表されてます。しかし、インドでオックスフォード大学・アストラゼネカ系のワクチンを購入を予定していたブラジル連邦政府が購入の遅延のため、サンパウロのコロナバックを一部差し押さえたので、ワクチンが足りない可能性が出てきてます。いずれにしてもワクチンが一般市民に行き渡るには時間がかかると考えるのが妥当です。
サンパウロでは引き続き「更なる自衛する」しかないと考えます。
2020年11月15日更新
今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字(ブラジル):
- 感染者:5.851.239人(その内サンパウロ州、19.9%)
- 死亡者:165.696人(世界の12.6%;その内サンパウロ州、24.5%)
前回の”現状”から1ヶ月半経ちました。その間に、世界ではコロナ禍が収まる兆しは全然無く、ヨーロッパや北米では再度感染拡大のため、ロックダウンする所もあり、日本でも第3波到来とか言われてます。ブラジルでは死者がこの間に2万人増え、16.5万人、サンパウロ州では2日前に4万人を超しました。8月頃にはブラジルでは1日平均(週の1日平均=1週間の死亡数を7で割った数字)のコロナ死亡が1200人程度でしたが、最近は300人強まで減ってきています。減ったとは言え、大変大きな数字です。日本が10ヶ月に積み上げた死亡者数はブラジルの1週間より少ないです。
しかし、11月に入り、サンパウロ市では富裕層に感染拡大が認められます。下記前回の図にあるように、9月下旬から富裕層の多い地区で死亡増加の傾向でしたが、次のような具体的な事実が最近認められます。まず、自費や高級医療保険を扱う検査機関でPCR検査の実施が増えてます。直近2週間で実施検査数が3割ほど増え、検査機関によりますが、結果の陽性率も20%から29%や8%から15%など、陽性率が一番低かった10月下旬に比べ、確実に陽性の検査が増えてます。さらに、富裕層が利用する病院でコロナ入院が増えており、需要の減少で閉鎖していたコロナ病棟やコロナICUを再開するか複数の病院で検討に入ったようです。
先月はサンパウロ州政府が導入を進めている中国製のコロナウィルスワクチン(コロナバック)を巡って連邦政府と州政府が対立し、政争がひどくなった月でもありますした。サンパウロ州政府は州の市民全員に接種を義務つけるといったような発表もしており、安全性が疑問になったり、中国製であることが嫌われたり、強制接種反対論がでたりと、ワクチン導入にまだまだ課題がある事が明らかになってます。そして、先週、コロナバックの臨床試験に参加している被験者が死亡したとの事で、連邦政府の当局が治験の中断を命じ、混乱に輪がかかった状態です(治験中断は数日後解除されてます)。連邦政府もイギリスのオックスフォード大系のワクチンの購入を発表しており、ワクチン政策がどの様になるのか現時点で不明な点が多々あります。
サンパウロでは引き続き「更なる自衛する」しかありません。
2020年10月02日更新
今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字(ブラジル):
- 感染者:4.882.231人(その内サンパウロ州、20.5%)
- 死亡者:145.431人(世界の14%強;その内サンパウロ州、24.6%)
現時点で新型コロナ禍が9ヶ月を過ぎました。死者は世界で100万人を超し、ラテンアメリカでは35万人、ブラジルでは14.5万人、サンパウロ州では3.6万人に迫ってます。インドが感染者数で世界2位で移行してますが、ブラジルは依然として死者数で2位です。8月上旬までの1日平均死者数1000〜1200人から600〜700人へ減ったとは言え、高い数字をキープしてます。まだまだブラジルの内陸部の地方へ感染が拡大している状況です。サンパウロ州では州全域の645の市町村で感染者が認められますが、6月1日から始まった規制緩和は5段階の3段階まで進み、学校を除き、ほとんどの業種が制限があるも、稼働しています。
サンパウロ州政府は州の住民全員にワクチン接種をすると発表してます。また、接種が始まるまでは緊急事態宣言を解除しない方針です。本日、国の認可当局(ANVISA、国家衛生監督局)にサンパウロで共同開発が進められている中国産ワクチンの認可申請が手続きされました。州知事によると、12月中旬に接種を開始するとの事です。ブラジルでも臨床試験が実施されているオックスフォード大系のワクチンは9月上旬に副作用疑いが出たため、治験が一時停止され、開発が遅れたのでこのサンパウロのワクチンが世界で一番始めに一般の人口にワクチンを大量接種する事になる可能性が高いです。
8月末と9月上旬に大挙して人の外出があり、9月下旬で感染状況が増えなければ集団免疫の獲得が認められるのではないかと先月ここで書きました。残念な事に、拡大の抑制はなかったのでサンパウロでは集団免疫の獲得があったとは言えません。サンパウロ市の統計では、9月下旬には市の96区の内、79区で新型コロナの死亡が減少している事がわかり、感染が減少方向に向かっている模様ですが、富裕層の多い区で増加傾向となってます(図)。この現象は①8月下旬から海や山などへの外出が増えたため、②営業規制緩和で飲食関連が店内で営業できるようになり外食するようになったため、③感染者が減ってきたので自宅で会食やパーティーをするようになったため、④元々富裕層が多い地区では高齢者が多いため、と説明されてます。
図。茶色へ色が濃くなるほど死亡率の増加が認められる。
サンパウロ在住の邦人は統計的に富裕層に入りますので、現時点では周りで感染が拡大している事になります。引き続き自衛するしかありません。
2020年9月07日更新
今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字(ブラジル):
- 感染者:4.137.722人(その内サンパウロ州、20.7%)
- 死亡者:126.686人(世界の14%強;その内サンパウロ州、24.7%)
筆者がコロナ疲れでこのページを更新せず2ヶ月経ってしまっている間に、数字が3倍くらいになってます。メキシコやペルー、チリやコロンビアなども感染者が多く、米国も依然1位なので現時点では米州全体が新型コロナウイルスの流行地と言えます。ブラジルの死亡者数は以前と同じ2位で、まだまだ内陸部の地方に伝播している状況なので、死者が多いです。最近インドに急速に感染が拡大、感染者数2位に上がってきました。
ブラジル全体の数字では8月中旬頃まで、新型コロナウイルス死者が9週間連続で1日平均1000人を超えていましたが、このところ800人台に減少してます。サンパウロ州においては4週間前より新規感染者の拡大が止まり、州の645自治体の95%でコロナ規制緩和策5段階の内、3段階になってます。この段階になると、立席以外のイベントも開催できるようになり、商業は例外なく営業できます(入店などの規制あり)。今週より、一部登校が可能になります。
サンパウロ市では感染が減少に転じてます。今週中にアニェンビー国際展示場に設置されている野戦病院が閉鎖される予定で、市内に4ヶ所あった内、一番大きな野戦病院が役割を終える事になります。また、市内で実施された疫学調査では、市内人口の19.7%が既に新型コロナウイルスに対する抗体を保有しているとの研究結果が発表されてます。
ブラジルは感染者の数が多いので、米国とともに格好のワクチン治験をする環境にあります。現在4種類のワクチンの最終段階の治験が行われており、ブラジル連邦政府はすべての国民がワクチン接種できるよう法整備を終えました。国自体はイギリスオックスフォード大学系のワクチンを1億回分確保したと発表してます。サンパウロ州は中国シノヴァック製のワクチンを1.2億回分確保して、12月には接種開始の予定と発表してます。
この様に、サンパウロではコロナ感染の拡大が止まったデータが多方面から認められますが、感染がなくなった訳ではありません。現在ブラジル独立記念の三連休中で、お天気が良いので海や田舎の行楽地へ大挙して押しかけており、規制どこ吹く風の状況で「市民がコロナ隔離の終わりを布告した」と言った見だしが付くニュースになってます。9月下旬の感染状況で、拡大が見られなければ、集団免疫が獲得されたと考えてもよい可能性があります。それまでは反対に油断できないと考えます。
2020年6月27日更新
今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字(ブラジル):
- 感染者:1.314.000人(その内サンパウロ州、約20%)
- 死亡者:57.070人(その内サンパウロ州、約25%)
新型コロナウイルス感染拡大は現在北南米、中東、インドで拡大してます。ブラジルもその一員で拡大中です。現在感染者数、死亡者数ともに世界2位です。感染者数の2位は5月22日に、死亡者数の2位は6月12日に達してます。1ヶ月で死者数が2.2倍になってます。大都市部では安定、一部減少に入ってますが、内陸部へ感染拡大してます。人口あたりの死亡者数でみると、ブラジルは世界12位あたりで、米国より少なく、カナダ程度の成績なのである程度医療が持ちこたえているのではないかと考えられます。
しかし、感染拡大中にサンパウロ州とサンパウロ市どちらも外出規制緩和を始めたので、人出が増えてます。6月初めには小売り業などが時間制限四時間で営業可能になりました。さらに7月6日より次の緩和段階(3段階目)に入り、飲食と美容・理容が解禁されます。サンパウロ市のパカエンブ球場に設置された野戦病院は撤去されるくらい当市は安定期に入ってますが、高止まりなので、感染者数は少なくありません。サンパウロ市では近く第二波の可能性があり、その確立が高まっていると言えるでしょう。
連邦と州と市の行政の足並みが、死者5万人越しても、揃わないので、社会全体参加型の予防は期待できないと思います。感染者が多い状態で人出が増えるので、「今までになく注意し、自衛していくしかない」としか言えません。
引き続き不要不急の外出は避け、特に会食;外出する場合はマスクを着用し、マスクしない人とは接触しない;人と会話する場合はマスク着用する生活を心がけるのが重要です。
秋山一誠診療所では外出をできるだけ減らす目的でオンライン診療を積極的に実施しております。感染の可能性のある患者様は初診でご来院いただいた後はスマホのビデオ通話機能を用いてフォローしております。
- 秋山一誠診療所 ご予約・ご相談 受診予約の際には「発熱」の有無をお知らせください。
- SMS +55-11-98135-8205
- 電話 11-3885-0788
- 電子メール consult@akiyama.med.br
2020年5月28日更新
今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字:
- 感染者:418.608人(その内サンパウロ州、約22%)
- 死亡者:25.935人(その内サンパウロ州、約26%)
- ブラジルで医療崩壊状態(ICU病床使用率90%以上)の州:AP、MA、AC、PE。
死亡者は前回の更新(5/02)より3.78倍増加してます。ブラジルでは現在感染者数が世界2位で、拡大スピードが一番速い状況です。始めに一番死者が多く出たイタリアでも死者数が倍増するには2ヶ月かかりましたが、当地では2週間で倍増してます。反面、感染者数や死亡者数のサンパウロ州の割合を見ると、毎回下がって来ているのがわかり、ブラジルの内陸や地方で感染拡大している事を反映してます。現時点でブラジルは”感染率”(正確にいうと「実効再生算数」または Rt(アールティー)。感染者が平均して何人に感染させるかという人数。1以下でないと感染拡大が終息しない)が世界一高く、Rt=2.81まで観察されてます。この現象の主な理由は外出規制を守らない人が多く、人出減が5割程度の所が多いからです(7割以上ないと効果がでない)。
昨日サンパウロ州政府は外出規制を6月15日まで2週間延期すると発表しました。一方、段階的に規制緩和する事も発表され、フェーズ1(現在の完全規制)からフェーズ5(完全緩和)の5段階です。来週の6/01日より次の業種業態が緩和されます:
- 不動産販売
- 自動車販売
- オフィス一般
- 商業用店舗(小売り業)
- ショッピングセンター
サンパウロ市はRtがほぼ1です(Rt=1とは、増えもしないが減りもしない状態)。また当市では、ある一定の人口の抗体検査をし、市内感染の動向の疫学調査を実施する計画も発表されてます。外出規制緩和は感染拡大が止まってからでないと危険である意見も多々あり、緩和されても引き続き現在と同じ生活仕様を推奨します。
ブラジルでは結果的に「わざとで無い、間違った方法で」集団免疫獲得にむかっている感があります。どんな感染症でもある一定の人口が感染し、免疫ができるとその感染症の流行が終息にむかうので、新型コロナも例外ではありません。従って、ジッとしていられない人達にどんどん感染してもらい、人口の2/3程度が感染するのを大人しく待機するしかないのかと考えます。感染率がまだ高値のまま規制緩和をするので、感染者はさらに加速度的に増え、以外とあっという間に2/3になると思います。
2020年5月2日更新
今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字:
- 感染者:96.559人(その内サンパウロ州、約32%)
- 死亡者:6.759人(その内サンパウロ州、約38%)
- ブラジルで感染が多い州:SP、RJ、CE、PE、AM。
現時点で国全体で一日400人以上の死亡で推移してます。但し、PCR検査されずに死亡した方が1000〜2000人いるのではないかとされてますので、実際の死亡者数は発表より多いのは間違いないでしょう。医療崩壊状態と認定されているのがアマゾン州です。
サンパウロ州及びサンパウロ市の人口移動は約55%に留まり、感染拡大が止まらないので外出禁止は5月10日まで延長されてます。5/11よりショッピングセンターなど商業施設の営業を認める方向のようです。反面、サンパウロ市では来週より人の移動を減らすため、道路封鎖を実施すると発表されてます。市内では感染拡大が減少しないので、10日以降も外出禁止が示唆されてます。更に、サンパウロ市では5月4日より、公共交通機関を利用する場合、マスク使用が義務づけられましたので、ご注意ください。
4月にはブラジル保健当局(ANVISA)が一般薬局で新型コロナウイルスの抗体検査実施を許可しました。抗体検査は抗原(ウイルス)を検出する有名なPCR検査ではなく、感染した人が抗体を持っているか検査するものです。今回のような大規模感染症の場合、一定人口の抗体を調査し、その人口全員の免疫率(集団免疫)を計算するには有用ですが、個人や少人数(例、会社単位)で実施しても全く意味がありません。問題点として、まず流通する検査キットの精度の問題があり、30%から60%偽陰性(本当は陽性だが陰性と結果がでる)があるようです。また、抗体は感染開始より一定期間以上経たないと産生されないので、採血した時期により本当は陽性だが陰性となります。さらに、疑陽性(本当は陰性だが陽性と結果がでる)も一定程度あり、抗体があるから大丈夫と勘違いする事になりかねません。薬局の検査は有料なので、支払いができる人達が対象になり、人口全体の集団免疫率を算出する事はできません。この様な事情から、国がこの検査方法を許可したのは単なる責任逃れとしか思えません。仮にこの抗体検査を受けて陽性が出ても、外出禁止を免除するものではありません。抗原検査と抗体検査はどちらも医師の判断に有用です。医師の指示で受けるようにお願いいたします。
2020年4月06日更新
今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字:
- 感染者:12.056人(その内サンパウロ州、約41%)
- 死亡者:553人
- 感染拡大が特に顕著で、拡大が増している州:SP、RJ、CE、DF、AM。
サンパウロ州で実施されている都市封鎖は州全体では人口の移動が封鎖される前に比べ、56%減少したデータが発表されてます。サンパウロ市においては更に多く、約80%の減少であろうと推測されてます。七割以上減少しないと封鎖の効果が発生しないとされます。感染者は増え続けているので、本日サンパウロ州の封鎖は4月22日(水)まで延長される事になりました。
ブラジルに対し日本の外務省が出す感染症危険レベルが3/25にはレベル2(不要不急の渡航は中止)、3/31にはレベル3(渡航中止勧告)になり、当地の”危険度’が増すばかりなので、3月下旬より希望退避または強制退避される駐在員・帯同家族が目立ってます。日本へ帰れるルートがどんどん減っているなか、ブラジルより更に危険な地域を経由するルートも利用せざるを得ない状況です。いずれにせよ、日本へ帰国したら2週間の隔離要請があります。しかし日本の検疫の隔離要請は法的拘束力がないので隔離をしないでそのまま実家へ帰ったなどの報告も聞きますので、退避が日本国内の感染拡大に一助しているのは間違いないでしょう。
他の欧米諸国と同じく、当地でも「マスク着用の重要性」が認められる流れです。医療用のマスクでは無く、布で作ったいわゆる日本のガーゼマスクを自作するのが流行り出しました。欧米はマスクを着用する習慣はありませんし、する場合も「うつさない」のではなく「うつされない」ために使われます。その概念が「マスクを着用する事により、飛沫感染を減らす」のに変わってきたようです。
2020年3月27日更新
今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字:
- 感染者:3.417人(その内1223人がサンパウロ州)
- 死亡者:92人(サンパウロ州68人、新しく次の州で死者がでてます:アマゾン、セアラ、ゴイアス、ペルナンブッコ、リオグランデドスル、サンタカタリーナ)
死者や感染者の増大が認められますが、数字的にはあまり現状を表してないと考えます。PCR検査の結果はサンパウロで現時点で10日待ちになってますので、確認されずに死亡した方がたくさんおられる報告があります。確実に感染拡大しているのは間違いないでしょう。ブラジルでは完全に市井感染が主な感染源となってますので、保健所の感染者追跡は行われてません。
サンパウロ市では今週24日より商業活動の停止と学校閉鎖が始まり、街から人が消えてます。食料関連は開店しても良いのですが、人通りが途絶え来客が見込めないので閉店しているお店が目立ちます。バルやレストランはデリバリーまたは持ち帰りのみになりました。サンパウロでは野戦病院の設置やサンパウロ大学医学部附属病院の中央棟をコロナ感染関連の病棟に改装されてます。
反面、大統領はこういった地方行政の措置に不満を示し、都市封鎖の解除を求めてます。経済活動を止めない為だそうです。これに応じ、今日マットグロッソ州、ホンドニア州、サンタカタリーナ州で封鎖が解除されました。今回のような危機をマネージすべく行政トップの足並みが揃わないので、感染拡大が長引く可能性が大です。
今週新型コロナウイルスの予防や治療薬であるとして米国大統領やブラジル大統領がマラリアや自己免疫疾患に使用されるクロロキンを称賛し、ブラジルでは買い占めがおこり、当局が規制に乗り出しました(が、時既に遅しで元から必要な患者さんが入手できない状況のようです)。この薬物はウイルス性肺炎に対する効果は検証中で、効果は不明です。大変毒性が強いので、絶対に勝手に服用しないように!米国で死亡例が出てます。
COVID-19の新症状として、「味覚・嗅覚障害」が報告されました。検証が必要ですが、多数多所で報告があり、新型コロナウイルスは鼻腔と咽頭で好んで増殖する事がわかってきてますので、本感染の症状の一つと考えても良いのではないかと思います。
秋山一誠診療所では引き続き診療を継続してまいります。
2020年3月20日更新
今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字:
- 感染者:904人(その内396人がサンパウロ州)
- 死亡者:11人(サンパウロ州9人、リオデジャネイロ州2人)
- 感染が確認されている州:全ての州。また、全ての州で国内感染が認められる。
今週は爆発的に感染者が増えました。来週は更に拡大する予想です。また、初めて死者がでましたが、発表されている人数以上である可能性が大です。理由は検査に押しかけ需要があったため、パンク状態になり、検査結果は1週間待ちになっており、結果が出る前に死亡するケースが出てきているからです。現在、重症例にしか検査をしない方針です。来週にはサンパウロ大学の実験用研究室17室をPCR検査に転用する計画が発表されてます。
ブラジル医師会(Associação Médica Brasileira)が国内の全ての一般外来の閉鎖、緊急を要しない手術や処置の延期を勧告しました(3/19(木))。前者は混み合う待合室が感染クラスターになるのを防ぐため、後者は病院資源を緊急外来に集中するためです。さらに、サンパウロ医師評議会(医業を監督する役所, CRM Conselho Regional de Medicina)が今日、感染の危険度により、各自医師の判断で医院など医療機関を閉鎖しても罰則に触れないといった通達を発しました。この流れで、閉鎖する医療機関が増えています。
3/20(金)に連邦政府が「非常事態宣言」を発し、上院議会が承認しました。同時にサンパウロ州およびサンパウロ市も非常事態を宣言を発し、これにより、社会活動の制限が行われる事になりました。サンパウロ市では21日以降次の業態が開店でき、それら以外は15日間閉鎖命令が出てます:
- 病院、医院
- 薬局、医療品店
- 市場、フェイラ(青空市場)含む
- コンビニ
- パン屋
- バルやレストランなど飲食店(テーブルの間隔を1メートル以上空けるなど制限あり)
- ペットショップ
- ガソリンスタンド
秋山一誠診療所では完全予約制のため、待合室が混み合わない工夫ができます。引き続き診療は続けていきます。但し従業員の安全のため、時差出勤を実施してますので通常の診療時間が変更する事があります。必ず事前にご連絡ください。
2020年3月14日更新
今日発表された新型コロナウィルス感染に関する数字:
- 感染者:121人(その内約半数65人がサンパウロ州)
- 感染疑い:1.496人
- 死亡者:ゼロ
- 感染が確認されている州:SP、RJ、PR、RS、DF、SC、GO、PE、BA、MG、RN、ES、AL。
- その内、サンパウロ、バイア、リオデジャネイロで国内感染が認められる。
3月12日にサンパウロ州政府は新感染症用のICU集中治療室を1000床増やすと発表しました(が、連邦政府の補助金などが必要なので、「作る」と言っているのであり、「出来た」訳ではありません。)。
3月13日にようやく連邦政府が新型コロナウィルス感染拡大抑制に関する「勧告」(recomendação = recomendation、日本の「要請」に準じる;法的効力はない。)を出し、それに基づきサンパウロ州が次に挙げる行為を勧告してます:
- イベントの中止:行政主催または民間主催のスポーツ、文化、芸術、政治、学術、商業、宗教、その他、500人以上が密集するイベントの中止、延期、無観客で開催。
- 500人以下のイベントは締め切った場所で開催しない。
- バイキングスタイルやポルキロの様な各自が食べ物を取る方法の食事の中止。
- クルーザー船を利用した観光の中止。
- 新型コロナウィルス感染症の為死亡した方のお通夜の中止、速やかに埋葬。
- 学校休校:期間は未定。
- 大学は16日(月曜日)より
- 幼稚園と小中高は23日(月曜日)より:私学では25日頃から休校する所も多々有るようです。公立の学校の場合、16日以降休学しても欠席扱いにならない。休校期間は未定なので、年間200日の学校日に満たない場合、来年に持ち越し可。
- 休校中の児童を55歳以上の親族または祖父母に預ける事を禁止。
- 可能な場合、在宅勤務、時差出勤。
- 不要不急の旅行や出張の中止や延期。
高齢者や基礎疾患のある方は特に「社会的接触」を避ける:国内感染が認められる行政所在地在住の方は(この場合、サンパウロ市、リオデジャネイロ市など)旅行の中止、映画館、教会、ショッピングモール、ライブハウスなど人が密集する場所に行かない。また、早急にインフルエンザ予防接種を受ける事が推奨されてます。
その他、法的効力がある措置としては「一定の場所で新型コロナウィルス感染症の為に用意されたICU集中治療室の占有率が80%に達した場合、その場所は「検疫地域」に宣言され、都市封鎖などが実施可能になるといった条例が発効しました。また、法務省が疑い例を裁判所命令無しで強制入院や強制隔離できる省令を用意しているようです。
いずれにせよ、秋山一誠診療所が提案する対策=自衛は下記のとおり、変わりありません。
2020年3月11日現在
去年の年末に中国武漢で発生した新型コロナウィルス感染は今日WHOがパンデミック宣言しました。現時点で110以上の国や地域に広がり、約12万人の感染者、4千人以上の死者をだしている感染症です。
ブラジルでは2月23日より保健省(厚生省)の監視が始まり、当初は感染の可能性のある国からの旅行者・帰国者が対象でした。これらの国(日本を含む)は27カ国にまで増え、3月6日にはもう国単位では無く、北米、ヨーロッパ全域、アジア全域へ監視対象が拡大されました。監視内容は対象地域から入国した方で発熱や咳などの症状がある場合、監視下におかれるとありますが、隔離施設や隔離方法などは用意されてないようです。
ブラジルの保健省の出した指示は具体的には空港や港、国境の監視をANVISA(国家衛生監督局)が施行すべきとの指示や連邦の各州が各自の事情にあった予防政策を実施しろという事で、高齢者や有病者を守らなければならないなどは言っているものの、国全体の行動基準や措置は明確化されてません。
ブラジルでは3月11日現在8州で感染者が認められ、感染確認68名、疑いで経過観察中が907名、死者ゼロです。感染確認の内、半数強がサンパウロ州にあります。また、国内感染もサンパウロ州とバイア州で認められてます。2月25日にはイタリアで感染したサンパウロ在住の男性がブラジルの感染者第一号と確認され、3月03日まで2件確認されていましたが、ここに来て爆発的に増える傾向にあると思われます。昨日の時点で確認34人が今朝52人、夕方には68人に増加してます。
サンパウロ国際空港で検疫が実施されてない、学校閉鎖は各自の都合により自主的に行われている、イベント抑制の要請がないなど、実際具体的な対策をしていないブラジルの現状や、一般的に意識低めの国民性などを勘案すると、この感染力の強いウイルス感染が更に拡大する事になりかねないと思われます。
秋山一誠診療所が発信する対策の提案としては「自衛しかない」と考えます。感染の可能性の高まる室内イベントは軒並み中止されている訳でも有りませんし、学内で感染者が出ても、政治的な問題で学級閉鎖しない大学も有りますので、各自が置かれている状況が「ヤバい」と思ったら自分でその状況・状態を避けるしかないでしょう。
新型コロナウィルス感染症はほとんどが「風邪」の症状になり、8割方が軽症で完治しますので、必要以上に恐れる事はありません。しかし、70歳以上の高齢者にはかなりの確率で肺炎などに重症化・重篤化しますので、高齢者が居られる環境には注意が必要です。意識が低い方も多い反面パニクっているブラジル人も多いので、現在ウイルス検査を実施できる病院の救急外来はとても混雑してます。新型インフルエンザの流行時のように、発熱救急外来を受診し、そこで感染するような事態は避けたいです。また、無用に検査など医療資源を消費する事を避けるのも現時点で重要です。当診療所でも感染が心配であるので検査を希望する方の相談がありますが、仮に陰性であったとしても、潜伏期間等の関係でウイルス保有者でない事を証明できる訳ではありません。このような状況を医学では「虚偽の安心感の要望」といいます。
秋山一誠診療所の新型コロナウィルス感染に対する自衛の提案
軽い症状(37.5℃以上の発熱、咳、頭痛など風邪の症状)のある方(子供を含む)
- 市販の総合感冒薬を服用し、自宅で療養。
- 4日以上症状が続く場合、かかりつけ医を受診、医師の指示を仰ぐ(*)。
- (*)そこで必要であれば、ウイルス検査の実施の指示がでます。サンパウロではウイルスを検出するPCR検査が既に民間の検査機関で行われてますが、医師の指示が必須です。
- 陽性の場合は自宅療養です。陰性であっても潜伏期間等のため自宅待機が必要な場合もありますので総合的な医師の判断に従ってください。
重い症状(強いだるさ、息苦しさ)のある方
- 直ちに救急外来を受診。
- 場合により入院。
無症状、有症状に関わらず、妊婦、高齢者、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患)のある方、透析を受けている、抗癌剤や免疫抑制剤を服用している方
- かかりつけ医に相談。
無症状であるが、濃厚接触(感染者と近距離で一定時間以上会話をする)や感染の疑いのある場所(日本のみではなく、ヨーロッパと北米も該当)にいた方
- 可能であれば接触から2週間自宅待機が望ましい。
- どうしても仕事や人と会う必要がある場合は接触時から2週間はマスクを着用。
無症状で接触や感染の疑いのない方
- 手洗い、うがいの徹底。
- マスクの使用。
- 発生リスクが高い3っの条件「換気の悪い密閉空間」「手の届く距離に人が密集」「近距離での会話や発声がある」が同時に揃う場所・状況を避ける。
秋山一誠診療所では外出をできるだけ減らす目的で遠隔診察(オンライン診療)を積極的に実施しております。感染の可能性のある患者様は初診でご来院いただいた後はスマホのビデオ通話機能を用いてフォローしております。
- 秋山一誠診療所 ご予約・ご相談 受診予約の際には「発熱」の有無をお知らせください。
- SMS +55-11-98135-8205
- 電話 11-3885-0788
- 電子メール consult@akiyama.med.br