By: Kazusei Akiyama, MD
2012年07月
今月のひとりごと:『シリコンなくてもでかいんですよ』
さてなにがでかいと言うと、ブラジル人女性のお尻です。理由はある有名なコミックを読んで、?、となったからです(註1)。漫画の中で、ブラジル視察に来た日本の大手企業のトップがリオの海岸を”視察”している場面で:
「こちらの女性はみんなお尻の形がいいですね」
「ハハハ いいとろこに気がつきましたね 実はあれはシリコンです」
「シリコン?」
「そうです 整形です」
「ブラジル人は女性の一番のチャームポイントはお尻だと思ってます だから若い娘達は形をよくするために普通にシリコンを入れてますよ」
「へえ」
と、当地駐在員とトップが会話します。本当かな?ド勘違いでしょう、これは。ブラジルの女性に「普通にシリコンが入っている」のは胸で、お尻ではないです。筆者が想像するに、この資料は次のような情報で現れたのでしょう:
- *ブラジルは美容形成手術が盛んです;
- *ブラジルの女性のチャームポイントはお尻です;
- *ブラジルの女性はお尻にもシリコンを入れます。
ここで、”お尻にも”の「も」が欠落すると、前出の「普通に入れる」にぶっ飛ぶわけですな。たしかに胸以外にお尻、太もも、ふくらはぎ、上腕、胸(男性向け、筋肉質にみせるため)、顔などの形成にシリコンインプラントが使われるけど、圧倒的に多いのはやはり豊胸手術です(註2)。
- 註1:モーニングKC発行 弘兼憲史著 社長島耕作12巻86~87ページ。
- 註2:ピンドラーマ2011年3月号の「開業医のひとりごと」を参照。
『これを読んで思ったのが、やはり日本人からみて、ブラジル人女性はボリュームあるだった。体格がアメリカ人ほど大きくないにしても、違う。平均的な日本人女性は体重40キロ台が多いのだが、ブラジル人は60キロ台、痩せていても50キロ台だもんな。医療をするときもこれを考慮しておかないと、薬の出し過ぎとかになる。あるいは、検査の基準値に入らない(註3)ので異常値に見える。はなしを戻して、お尻と胸とどちらかにシリコン入れるかというと、後者になるのは理由があるのだ。お尻は筋肉が多いので、鍛えようがあるけど、おっぱいはないのだな。だから、この漫画の正しい会話は「…だから若い娘達は形をよくするためにせっせとジム通いでお尻の筋トレをしてますよ」になる。友人のT氏曰く、「横から見て、前も後ろも出っ張りのない、エンピツ嬢」がよしとされる国(註4)から見ると、当地のお尻には圧倒されて、シリコンでも入れないとこんなのにならない、であるのだろうか?』
- 註3:例、クレアチニンという腎機能に関係する血液検査があるが、体全体の筋肉量に依存するので体格が小さいと値が小さい。当地で検査すると日本人女性の結果はブラジル人女性の基準値以下になることが多い。反対にブラジルの基準値内でも日本人女性にとっては基準値以上であってもその異常値に気が付かない。
- 註4: ピンドラーマ2011年7月号の「開業医のひとりごと」を参照。
いずれにせよ、取材が甘い感じがしたのです。いよいよ社長がブラジルに視察に来るとは、本当にブラジルトレンドですね。だからこそ、ちゃんとした情報発信を心がけようと決心する筆者でした。