By: Kazusei Akiyama, MD
2017年03月
今月のひとりごと:『本当に便利なのかな?』
今年のサンパウロは日本の冬で大流行した輸入物のインフルエンザの流行で始まり、咽頭結膜熱、手足口病、訳の分からん熱など、「もらい物」つまり感染症で賑わってます。しかし、一番怖いのは当地ブラジルで流行中の「黄熱」ですね。大変問い合わせが多かったので、医学界より出ている黄熱ワクチン接種の勧告を記載します:「流行地域(註1)に住んでいるまたは旅行する以外はワクチン接種は勧告されてません(註2)。つまり、「どうしてもそれらの地区へ行く必要がある人が予防接種すべき」と言うことになります。流行地域への移動をやむを得ない場合はまず事前に接種しかたを確認をし(イエローカード)、10年以内に受けていなければワクチン接種をする必要があります。
さて、今回のひとりごとは実は感染症の話しではありません。一般内科の医療現場では、食生活と関係する疾病を毎日診てます。前回の話しも「口から入る物」が肥満をおこしているでしたね。我々人類は生活をするのに必須の食事から病気になっているのではないでしょうか?色々便利になったことで、生活の質が向上した事は間違いないでしょうが、その反面、便利過ぎて、実は難しくない事も忘れているのではないかと思うこの頃です。便利には対価があります。便利を流通するためには物を加工する必要があり、それが行き過ぎているのでは?一例を挙げると、高血圧などと関連があると悪者扱いされているナトリウムですが、現在の先進国の都市部の成人のナトリウムの一日の摂取量の大半は塩化ナトリウム、いわゆる「塩」からくるのではなく、6割が食品添加物に含まれるナトリウム塩(註3)由来といった試算があります。
『塵も積もれば山となる、という事だな。』
また、例えば、顆粒状の出汁の素はお湯に入れただけで出汁ができる、と便利ですが、和食のベースの「鰹だし」は沸騰した水に鰹節を投入して2分でできます。この場合、不便なのは、鰹節を濾して、それを捨てる(註4)ことですね。「便利な生活」を追求した結果、簡単な事も忘れているのではないでしょうか?ということで、まず家で作らないトマトソース(箱や缶を開ける以上に手間はありますが、以外と簡単!)を例に挙げ、このコラムの24人の読者様に「便利X食生活X病気」について考えて戴ければ幸いです。
- 註1:2017年2月下旬時点でブラジルの次の各地の山林地帯、河川地帯:北地方(アマゾン地方)、中西地方(ブラジリアを含む)の全域、マラニョン州全体、ピアウイ州南西、バイア州西と南、ミナス州全域、サンパウロ州西、エスピリトサント州北、南地方(パラナ州、サンタカタリーナ州、リオグランデドスル州)の西(イグアスを含む)。
- 註2:非常に副作用の強いワクチンであるため;流行により需要が多く、ワクチンの在庫が少ないため。。
- 註3:例:亜塩素酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、亜硝酸ナトリウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、エルソルビン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、等々。
- 註4:2番だしをとる手もありますが。
ブラジル式トマトソースベースのレシピ
材料(3リットル分)
トマト4kg(細長いイタリアンが良い(tomate italiano)、ソース用なので、形が悪くてもOK、なるべく完熟だと美味しい。完熟していなければ、常温で置いておくと赤くなります。桃太郎、プチトマトでも可(高額になりますが)。サラダ用のtomate caquiやdeboraやcarmenは美味しくできない)
人参 大 1
パセリ(salsão) 葉を取った茎のみ 3
バジリコ(manjericão) 葉を取った茎のみ 3~5 (当地では鉢植えで売ってます。乾燥バジリコを使う場合、ティーバッグに入れる)
タマネギ 大 2
オリーブオイル 大さじ 4
作り方
1。トマトはスポンジと石鹸で洗う。水気は拭き取る。(写真1)
2。人参、パセリ、バジリコはたわしで洗う。皮むき不要。水気は拭き取る。
3。タマネギはみじん切りにしておく。
4。寸胴など深い鍋にトマトを一つずつ入れ、手の平で押しつぶす。(写真2)
5。15分ほど中火にかけ、柔らかくなったら下ろす。(写真3)
6。熱いまま、2分ほどミキサーにかける。ざるで濾す。(写真4)
7。鍋にオリーブオイルを入れ、加熱。3のタマネギを投入、シンナリするまで炒める。(写真5)
8。6の濾したトマトジュースを7の鍋に投入。人参(丸ごと)、パセリ、バジリコを入れる。
9。中火で沸騰したら、弱火にし、蓋をせず約40分加熱する。時々全体をかき混ぜる。
10。出来上がったら、人参、パセリ、バジリコを取り出す。(写真6)
備考
このソースはベースです。パスタや煮込み料理をするとき、適宜、塩、オリーブオイル、ニンニク、バターなどを加えるので最初から入れません。無農薬の原料を使わない場合、薬品含有になるとの意見がでますが、商品化されたものは農薬以外に添加物が入りますので随分マシではないでしょうか?ソースは冷凍容器などに適宜取り分け、冷凍。6ヶ月で消費するのが理想ですが、1年くらい冷凍保存できます。