By: Kazusei Akiyama, MD
2010年02月
今月のひとりごと:「夏のお腹は意外と冷えているのだな」
南半球の暑中のお見舞い申し上げます。暑いですね。今年はまたよく雨が降ります。いろんな所で浸水して大変です。筆者の診療所でも屋根が雨漏りして困ってます。この季節、腹痛で受診される患者さんが増えます。夏期の前半多いのは食あたり系の下痢ですね。気温が高いので食材そのものやこちらでよくあるビュッフェ形式の食べ物が傷む確率が高くなります。
「とにかくサラダバーが危ない。マヨネーズサラダは絶対にやめといた方がいいぞ。マヨネーズには卵が原料として入るが、ブラジルの卵はサルモネラ菌という大腸菌の一種に感染している可能性が高い。繁殖するのに丁度いい温度になるのだな。もう一つ夏に避けた方がよいのが貝類だな。貝は海水のフィルターなのだな。海辺人口が増えるこの時期は海水汚染(はっきり言うと排便汚染)がひどいので汚れを体内にため込んだ物を食べる気にはならないよな。コレラ菌が属するビブリオ属は海水での生存期間が長いので下痢の原因になりやすい (註)。ゲロゲロ。」
そして夏期後半多いのは意外と冷えからくる腹痛・下痢です。これは冷たい飲み物や冷やし○○など温かくない料理を摂る機会や身体が冷える状況(クーラー、服装、プールなど)が増えるためです。3ヶ月ほど冷やした生活をしていると夏の終わりに胃けいれんや下痢をおこすことがあります。
「暑いから食欲が無い、と冷たい物を食べてると、内臓が冷え、消化機能が低下し、さらに食欲が落ち、また冷たい物を食べる、の悪循環に陥るのだな。日本では伝統的に暑中の冷やした料理があるけど、井戸水程度の温度が冷やしたもの(15℃前後)だったのだな。今はクーラーで20℃代前半に空調した環境で冷蔵庫や氷で冷やした物(5℃前後)を食するからとんでもない。病気をつくっているようなものだな。夏は温かい物、栄養がつく物を口にするのが健康の条件だろう。土用のウナギとはよく考えたと思う。」
ということで、生もの、冷えたものには留意して元気に夏を過ごしたいものです。Caféにいったらレーコーではなくホットを頼みましょう。
註:感染症系の下痢はほとんどが「感染性胃腸炎」であり、ウイルス、真菌、細菌、原虫、寄生虫のうちどれでも原因になりうる。一般的には重症化しないが小児や老人には脱水症を起こすことがあるので注意が必要。急性の症状をおこす代表的な微生物:サルモネラ菌、カンピロバクター菌、腸炎ビブリオ菌、黄色ブドウ球菌、ノロウイルス、ロタウイルス。コレラ、赤痢、腸チフス、O157は重篤な症状をおこし致死率が高いので別分類される。