旬という概念、わかりますか?

By: Kazusei Akiyama, MD

What a view! Harukas. Caju©2019


2019年4月

旬という概念、わかりますか?

このコラムの24人の読者様は毎日数回食事をされてますよね?当たり前のように「食べている」訳ですが、多分健康に良い食事をするように心がけている方が多いのではないかと思います。何をどう食べたら良いか、何は摂りすぎたら良くないとか考えますよね。しかし、なぜモノを「食べるか」わかってますか?

巷で「どうして食べるか」聞いてみると、一番多い回答は「空腹になるから」でしょう。また、「食べないと力が出ない」とか「健康を維持するため」なども答に挙がるでしょう。当たり前すぎて「どうして私たちは食べるのか」あまり考えないですね(註1)。ここで筆者が一番大事な答えと考えるのが、もっと当たり前の「食べないと死ぬから」です。これを見落としているから現在の「変な」「本当に健康なのか」「これで大丈夫なのか」食生活をしているのではないかと思います。

  • 註1:実際あまりこの手の研究もない。

そう、当たり前でしょ?食べないと死ぬ。食べないと生きられない。食べることは生きることだ。ここに来ると、生きるとは何か?になりますね。極限まで縮小すると、「生きるとは他の生き物を体内に取り込む」ということです。最近、特に都市部の生活では、食糧の生産現場と消費現場の隔たりが大きいですし、食品を加工することで「元の形」を連想しにくくなった等、生き物を食べるといった行為に対する認識がとても薄れているのではないでしょうか?生あるモノは死ぬ。これは絶対的なお約束です。生きると言うことは死なないようにすると言えます。

では他の生き物を取り込むとはなにか。我々は生物として環境から色んな分子を共有してます。例えば今、読者様の血液内を移動している「ブドウ糖」、これは炭素と水素で構成されてます。ブラジルであれば、サトウキビの砂糖が一般的なのでサトウキビ由来のブドウ糖としましょう。サトウキビ畑を取り巻く空気中の炭素がサトウキビに取り込まれ、砂糖(ショ糖)になり、これを人間が食べて体内で代謝され、二酸化炭素と水になり、呼吸によってまた大気中に戻されます。つまり、炭素や水素や窒素や酸素などの分子が生命体と環境の間を行ったり来たりして生命活動を継続しているのが「生きている」という事なのですね(註2)。

  • 註2:我々動物は大きく分けて、組織を構成・維持する物質(主にタンパク質、アミノ酸)、組織を稼働させるエネルギー源になる物質(主に炭水化物と脂質)、これらを円滑に機能するのを担う物質(ホルモン、免疫物質、ビタミンなど)の三種類の物質を生きるのに必要とします。これを肉を食べたり、野菜を食べたりして取得し、体内で吸収・消化・消費してます。肉も野菜も全て元は生き物です。

ここで重要なのが、我々は環境の賜物である事実です。アミノ酸などが作られた環境があるから、生き物がある。その反対ではない。だから、人類も永い間、環境が造ってきた結果であると考えられます。筆者も読者様もその環境の特徴に最も順応・適応してきた産物の子孫なのですよ。なので、環境がもたらす食べ物が一番生体維持に向いているのです。例えば最近冬に日本へ行くと、「イチゴ」が山の様に売ってます。苺って春の食べ物じゃなかったでしたっけ?このような例は一杯ありますが、現在は元の季節でない食べ物が日常的に入手できるようになってます(註3)。また、もてはやされてます。これが現在の食に関する「体調を壊す一因」になるのではないかと思います(註4)。旬の食べ物に注意しなくなったとも言えるのではないでしょうか?

  • 註3:元の季節でない時期に出荷することで高価になったり、収入を維持できるため生産者が頑張った結果や、地球規模の流通が発達しその場所の季節とは関係ないモノが手に入るなどのためですな。
  • 註4:その他に「食事の仕方」や「工業的に加工した食品」に関する原因もありますが、これは別の機会にひとりごとします。

広辞苑で「旬(しゅん)」をひくと、意味の一つに(註5)「魚介・野菜・果物などがよくとれて味の最もよい時。」があります(註6)。これは旬の食べ物を摂る事によって、最も生命の維持が効率がよい事を示します。我々はその時期に採れるモノを食べて出来上がった動物なのです。表に旬と食べ物の特徴をまとめてみました。

どんな食べ物? どうして食べるの?
苦いモノ。山菜や野草。 冬の間に体内に溜まった老廃物排出を促す。
水分や酸味が勝モノ。キュウリ、茄子、トマト、スイカなど夏野菜や夏果物。 身体を冷まし、暑さを和らげる。
カロリーが高めのモノ。秋の魚(サンマ、イワシ、サバなど)は良質の油を提供する。 寒い冬に備え、身体を整える。
寒さから身体を守る食材。人参、ダイコン、ゴボウ、レンコンなど根菜類。 身体を温める効果があるモノをとって冬を乗り越える。

 

『旬の食べ物を無視して生活している現在、生命の維持に脅威ではないでしょうかね?』


  • 註5:もう一つの意味が「旬儀」の略で、古代、朝廷で行われた年中行事の一つ。
  • 註6:同じ漢字を「じゅん」の読みにすると、時間の単位になり、10日、10ヶ月、10年を示します。旬という字を調べていて関心したのが、「筍」タケノコという漢字です。たけかんむりに旬。竹が芽を出して、10日経ったモノ。なるほど。

 

医者との会話、どうしますか?

By: Kazusei Akiyama, MD

Flame. Ookawa. ®Caju2018

2019年1月

医者との会話、どうしますか?

謹賀新年。丁度キリの良い、101回目のひとりごとで始まる新年です。毎年年末になると、その年の新語・流行語大賞なるものがメディアで発表されます。去年の大賞が冬期オリンピックで使われた「そだねー」だそうです(註1)。どうやって選定されるのか、周りの日本人に聞いてみても意外と皆知らない言葉や言い回しが多いと思われますが、24人の読者様ご存じですか?説明聞いてやっと「あーそういえば」的な。

  • 註1:現代用語の基礎知識選2018ユーキャン新語・流行語大賞、詳細ははhttps://www.jiyu.co.jp/singo/に載ってます。

年間大賞語:「そだねー」

トップテン:「eスポーツ」、「半端ないって」、「おっさんずラブ」、「ご飯論法」、「災害級の暑さ」、「スーパーボランティア」、「奈良判定」、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」、「#MeeToo」

『でも、2018年の流行語は「平成最後の」ではないでしょうかね?』

で、この大賞のトップテンを読んでると、一つとても共感するのがありました。法政大学の上西充子教授が編み出した「ご飯論法」というもので、日本でおこっている不誠実な国会答弁をたとえたものですが、なんと医療の現場にもあるのです、これをやる患者さんが。

 

ご飯論法は次のように展開します:

Q「ご飯は食べなかったんですか?」

A「ご飯は食べませんでした。(パンは食べましたが、それは黙っておきます)」

Q「何も食べなかったんですね?」

A「何も、と聞かれましても、どこまでを食事の範囲に入れるかは、必ずしも明確ではありませんので…」

Q「では、何か食べたんですか?」

A「お尋ねの趣旨が必ずしもわかりませんが、一般論で申し上げますと、朝食をとる、というのは健康のために大切であります。」

Q「いや、一般論を伺っているんじゃないんです。あなたが昨日、朝ごはんを食べたかどうかが、問題なんですよ。」

A「ですから…」

Q「じゃあ、聞き方を変えましょう。ご飯、白米ですね、それは食べましたか?」

A「そのように一つ一つのお尋ねに答えていくことになりますと、私の食生活をすべて開示しなければならないことになりますので、それはさすがに、そこまでお答えすることは、大臣としての業務に支障をきたしますので。」

 

つまり、「朝食」という意味での「朝ごはん」を摂ったかどうか聞かれているのに、「ご飯=白米」にすり替えて「食べていない」と言い、「パンを食べた」事実は明かさない。あとは何を聞かれても、一般論でごまかす。ということです。

 

診察室で実際におこったケースで展開してみると次のようになります。

Q「お酒は飲まないのですか?」

A「日本酒は飲みません。(ビールは飲みますが、それは黙っておきます)」

Q「何も飲まないのですね?」

A「何もと言われても…仕事の付き合いで少しは飲まないといけない時もありますけど。」

Q「では、飲酒されますね。」

A「いやあ、飲酒といわれる範囲がちょっとわかりませんが、仕事でのお付き合いは重要なのです。」

Q「仕事の話をしてるのではないのです。あなたがお酒を飲むか飲まないかが問題なのですよ。」

A「ですから…」

Q「じゃあ、聞き方を変えて、理由はともあれ、アルコールが入った飲料は飲まれますか?」

A「そのように私の生活の内容を全て言わないといけない事はちょっとプライバシーに関わりますので…」

 

『ここまで来ると、「一体何しに医者に来たの?あんたの健康の話だろ!」と、速効で「医者患者関係(註2)が悪くなるのだな。』

 

健康で医者に行かずにすむ一年になるのが好ましいと考えますが、もし受診する必要がある場合、医者とご飯論法式の会話するのは絶対に止めましょう。診断に至る判断を誤る事になりかねませんし、結局損するのは患者さん本人なのですよ。ということで、今年もどうぞよろしくお願いいたします。


 

社会全体の取り組みが必要です。

By: Kazusei Akiyama, MD

Transparency. Nakanoshima. ©Caju 2018


社会全体の取り組みが必要です。

2018年12月

今回はまずこのコラムの24人の読者様へのお礼からです。本稿でひとりごと100回目になりました。毎度のご愛読とお付き合いありがとうございます。実は自身でも驚きですね。よく言われるのが、「まあこれだけ話題があるものだ」ですが、人間の生活をテーマに書いているのでネタは無尽蔵にありますね。丁度良い機会なので、前号全てを振り返って見たのですが、以外と今まで展開したことのない話がありました:「未病」についてです。

『最近では日本のK大臣が不正広告をした事件でその広告に出てくる著書が「未病云々」で、折角の漢方用語が不名誉な話に出てきてハラハラしながら見てます。まあ、ただ「広義の未病」を言っておられるようなので、必ずしも漢方医学の「未病を治す」知恵とは少し範囲が違う感じがします。未病とは「未発の疾病」のことで、大臣の場合、病気になるのを防げたら医療費削減になる、寿命が延びるなどを言っておられる。これに行き着くのに、定期健診(註1)や食事指導など予防医学的な手法をもってするというそうです。』

  • 註1:トイレにセンサーをつけて健康状態を把握するといった提言もありますな。

ただし、「未病を防ぐ」のと「未病を治す」(註2)のでは大きな違いがあります。「防ぐ」は「治す」の一部でしかありません。漢方医学の教科書をみると未病を治すとは①疾病に対する予防、②早期治療、③疾病の発展傾向を掌握する、とあります。西洋医学の予防医学の概念では予防は一次から三次まであり、次のように考えられます:

  1. 一次予防が公共政策などで実施される健康保持で、市民全体を対象にした予防接種、水道水のフッ素添加など;
  2. 二次予防が特定の人口に対する健康状態把握で、企業の定期健康診断、妊婦健診など;
  3. 三次予防が既に診断がついている疾病の治療で、慢性の糖尿病や高血圧症などを早期治療して悪化・進化させないなど、

になります。この観点からみると、西洋医学的な考え方では漢方医学の①と②にあたり、③はありません(註3)。

  • 註2:「みびょうをちす」と読みます。。
  • 註3:この「発展傾向」は現在進められている遺伝子解析で試みられているが、疾病全般的にはほど遠い。

勿論1次から3次予防は重要です。日本人の疾病構成に大きな影響を及ぼしたのが「減塩政策」であるのは記憶されていると思います。それにより、「脳血管疾患」による死亡(註4)が1960年代から1970年代には1位だったのが、現在3位までに後退した原因とされてます(図:日本国厚生労働省人口動態統計資料より)。

  • 註4:この場合、脳溢血、脳出血による死亡の事ですね。

しかし、一番難しく、かつ挑戦的であるのが漢方医学の「傾向把握」です。言ってみれば、これこそ未病を治す知恵の一番根幹にある部分ではないでしょうか?東洋医学の古い本には「上工(註5)は未病を治すとは何ぞや。師の曰く、夫れ未病を治す者は、肝の病を見て、肝脾に伝うるを知り、当に先ず脾を実すべし。」(註6)と出ています。これを現代風に考えると、現在患者さん(健康人でもいいです)の状態と置かれている取り巻く環境の考察が治療(あるいは健康維持)に重要になると言うことでしょう。

  • 註5:工とは昔の中国で医師の呼び方。「下工は症状を治し、中工は病原を治し、上工は未病を治す」とある。
  • 註6:東洋医学の五臓六腑の概念では肝と脾は相剋関係にあるので、肝の病が溢れて脾を傷付ける。紙面の関係で詳しく書けませんので、知りたい方はネットで「漢方相剋関係」を検索してください

簡単な例を挙げると、仕事のストレスで心身症に罹患している場合、個人に向精神薬を出すことも重要ですが、仕事環境の改善をしないと完治は見込めません。また、全ての仕事をしている人がストレスになる訳でも、またストレスになれば心身症になる訳でも無いのは、個人差や環境差があるのは理解できます。さらに大きく地域や行政単位で考える事も可能です。例えば現在日本の人口の四割以上が発症している花粉症、これは杉花粉に対するアレルギーが多くを占めてます。一般的に、特に行政サイドからは、杉花粉が大量にあるからだと言われてますが、全くの見当違いだと思います。アレルギー疾患はある抗原に対し身体が感化すると、その抗原に接触すると多い少ないに関わらず発症します。抗原が多いとは「接触する機会が増える」だけで、多いために発症しているのではないのです。従って、正しい対策方法は「抗原(杉花粉)を減らす」のではなく、「アレルギーにならない身体造り」なのです。この考え方を社会全体で共有しているかというと、残念ながら見当たりません…

診療所では個人的に考慮した健康法や食事指導などを行ってますが、あまりにも「周りの環境」が要改善なので、効果は限定的になってしまいがちであると医療現場で感じます。現在人類は「平均寿命が増えているので良し」とする傾向が強いと思われますが、健康な、地球が持続可能な、寿命の増加なのでしょうか?ブラジルにはenxugar o gelo氷を拭う(註7)という表現がありますが、そうならないように現時点では未病を治するには、患者さん個人の努力もさることながら、社会を構成する組織、企業、行政なども全体になって取り組む必要があるというのがひとりごとを100回して強く感じる結論です。

  • 註7:どこまでやっても終わりが無い、いつまでたっても十分でない等の意味。

 

またグチャグチャになりました。

By: Kazusei Akiyama, MD

Many bugs. Serra do Cipó. Caju© 2016


2018年11月

またグチャグチャになりました。

丁度この原稿執筆中にブラジルの金融決済システムに障害が出ました。サマータイムのせいです。というか、なるべきサマータイムがならなかったからです。ここまではこのコラムの24人の読者様の内ブラジル在住でない方は何の事か判らないですよね。説明します。当地では1985年よりサマータイムが実施されてます(註1)。現在の地域と方法でのサマータイムは2003年よりですが、2007年に政府が法制化し現行の実施になりました。毎年10月の第3日曜日から翌年2月の第3日曜日まで(註2)の期間、図の地域、ブラジルの約南半分で時間を一時間進める政策です。つまり国内でも時間が早まる場所とそうでない場所がでる訳です。今年は1021日開始の予定でした。ところが、今年は10月に大統領選挙があるのと、11月にENENという日本のセンター試験にあたる大学受験用の試験があるので、時間がいつもと違ったら都合悪いだろうと現行の規則を変える迷走があり(註3)、結局政策実施直前の103日に114日開始に変更すると政府発表があったのです。

オレンジ色の部分がブラジルサマータイム実施州。

  • 1:最近のサマータイム政策は1985年以来。ブラジルで初めて実施されたのは1931年で何回かの中止があった。
  • 22月の第3日曜日がカーニバル期間中にあたる場合はその次の日曜日に延期。
  • 3114日開始案と1118日開始案があった。

サマータイムは元々夏期の日照時間が長いのを利用して電力の消費を減らすのを目的にした政策です。産業活動を一時間早く終わらす事で照明の節約になり、夜間の電力の消費を減らすのが一番大きな効果ですが、その他に午後の明るい時間が自由になり、余暇の充実や活動時間が増え経済の活性化がある等がこの政策の根拠となってます。その反面、次にリストアップするような反対論も多々あり、今回ブラジルでおきた障害はコンピュータのシステムの調整と変更に関する問題そのものでした。

サマータイム反対論の根拠

  • 犯罪が増える:午後の日照時間が増えることは朝が早い事を意味し、暗い内に出勤や登校する事になり、犯罪が増える(註4)。
  • 交通事故が増える:時間切替時に交通事故増加の報告がある。
  • 大気汚染が酷くなる:夜明け前にラッシュアワーが生じ、日中より酷い大気汚染がおきる。
  • コンピュータの更新の移行コストがかかる、障害が出る可能性がある:今回のブラジルの例。
  • 寝不足になる:時間の切替で睡眠期間が移動する訳ではなく、どちらかというと同じ時間帯に寝て、早く起きるので一般的に寝不足になり、寝不足関連の健康障害が現れる。
  • 心臓発作が増える:開始直後に顕著に認められる。
  • 精神疾患が増える:鬱が増える報告があったり、自殺率の増加が認められる。
  • 4:実際バイア州ではサマータイムを実施したところ、この手の犯罪が増えたので中止した実績がある

『最近のコンピュータのシステムは時間の変化を上手く扱えるようになってきている。スマホ社会で世界を飛び回る現在に対応できるようになってるのは実感できますよね。なので、今回もブラジルが初めから取り決めの日時にサマータイムを実施していれば問題なかったのだ。それを直前に変更するからシステムの調整が間に合わないで障害が起きたのだな。ブラジルならではの現象と言えるぞ。』

電力の節約で始まったサマータイムも、社会構造や生活環境の進化で「さほど節約にならない」事が判明してきてます。最近はエアコンが普及し、夏の暑い午後や夕方に電力を大量に消費するためで(註5)、そうなると照明の電力の節約など意味が無くなってきたのですね。この様な事情に加え、生活や健康に多大な影響があるサマータイムはどちらかというとヨーロッパを始め、世界的には廃止の傾向です。ブラジルでも例外ではなく、電力節約効果が乏しい、健康に害がある、治安の問題があるなどの理由で廃止法案が国会議会を通過中です。

『と、この様に是非が問われるサマータイムだが、それを日本で導入すると議論になってますな(註6)。次の東京オリンピックのマラソンが過酷な暑さの中開催するのは良くないだろうという理由だそうだ。サマータイムにすると開催時間を早める事になるし、電力も節約するので一石二鳥とか言ってるけど。日本の夏は高温多湿なのでガンガンクーラー使ってるので暑い午後が増えるとかえって電力使うのではないかな?今年の殺人的な7月の猛暑では午前7時前に既に気温が30℃超えてたので、時間早めるのであれば3~4時間くらい早めないと効果ないのでは?まさに「焼け石に水」ですな。(笑)』


論文 (1995): Entre Dois Mundos(二つの世界の間で)

Between Two Worlds. Tokyo. ©Caju2009

By: Newsroom CKA

1995年にサンパウロ大学発行のRevista USPの日伯友好100周年記念の特集号に記載された院長の論文。この文章の一部はColégio Pueri Domus学校6年生用の地理の教材に使用されてます。

出典: Akiyama, K. (1995). Entre dois mundos. Revista USP, (27), 68-73. https://doi.org/10.11606/issn.2316-9036.v0i27p68-73


全文はこちらでご覧いただけます(ポルトガル語)。


 

錯覚してますよね:牛乳編

By: Kazusei Akiyama, MD

Hill Town. Ouro Preto. Caju© 2018.


2018年10月

錯覚してますよね:牛乳編

我々の生活の中では「良いと思って」錯覚しているものが結構あるのではないかと思われます。これらに焦点をあてる「錯覚してますよね」シリーズの第二弾は「牛乳」です。

牛乳は完全栄養食品と言われ、発育に良いため、日本の学校給食では国の規則により必須の食材です。小さい時からの教育(註1)で「牛乳は飲むほど健康に良い」と思っている人は多いと思われます。ブラジルでは脂肪分が多いのが問題とされてますが、当地でもどちらかというと優等な食品である旨肯定的な意見が多くみられます。カルシウム源として重要であるので、発育や骨粗しょう症予防のためにできるだけ沢山牛乳や乳製品を摂りましょうといったところですね。元々日本人は乳製品は摂らなかったのですが、太平洋戦争後、いわゆる食の欧米化の先陣としてパンと一緒に日本に入った歴史があります。牛乳の成分は主に水分、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、必須アミノ酸、と栄養価が高い食品である事は事実でしょう。問題は栄養価値が高いか?という所にあるのではないかと考えます。

  • 1:あるいは強制、強迫、日本の学校では牛乳を飲む事を強要するので、牛乳嫌いな人にとっては学校生活の非常に苦痛な事の一つですね。

『誰が、どの様に使うか。で価値があるかないかになるな。』

牛乳、特に大量生産されたのには色々問題があります。表にリストアップしてみました。

問題・事実

健康と関連

説明

日本人種に牛乳は合わない

下痢、腹痛

アジア人は欧米人に比較して、乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が少ない、無い

高脂肪高蛋白食である

牛乳のみならず、高脂肪高蛋白食は癌の発生を高める

カルシウム、リンが多く、マグネシウムが少ない

発育、骨粗しょう症、腎臓結石、精神疾患

大量にカルシウムを摂取するのはメリットではない。カルシウムは生命の危険に関する物質であるので、体内の量を調整する機能が強く働き、過剰摂取した分は必ず排泄されるし(結石になる確率が増える)、リン酸カルシウムになり体内に沈着する。牛乳を大量に摂取する社会では骨折が多い研究結果がある(註2)。

飽和脂肪酸が多い

肥満、高脂血症、血液ドロドロ、動脈硬化

生産者はできるだけ乳脂肪分の多い牛乳を目指す。血液粘度が高くなる。

エストロゲンなどホルモンが多い

女性化、女性ホルモン依存の癌、前立腺癌

生産性を高めるため、妊娠した牛が好んで使われるため、女性ホルモンが多い。

成長因子IGF-1が多い(註3)

乳癌、大腸癌、前立腺癌

IGF-1の増加は、 早期の癌に対抗する自然の体の防衛メカニズム(アポトーシス)を阻害する

牛の飼育は狭い牛舎で行われる

化学物質摂取

牛のストレスがたまる、糞尿もまみれた生活である、病気になり易くなるので、抗生剤が投与される。

牛のエサは自然ではない

生活習慣病、精神疾患?

元々牧草を食べる牛が遺伝子組み換え由来の穀物を食べている。(註4)

乳糖不耐性がある

消化器疾患

ラクターゼが無い場合。

カゼインが多い

アレルギー疾患、アトピー、喘息

腸内pHを高くし、善玉菌を減らし、悪玉菌を増やす。そのため腐敗作用が有意になり、腐敗のため色んな毒素が発生する。(註5)

高温殺菌をする

腸内環境の変化

カゼインが変性して、代謝されにくくなる。乳清(ホエイ)が変性して腸内で乳糖の代謝に変化がおこる。

  • 2:牛乳にはたんぱく質が多く含まれ、それらが代謝されて大量のアミノ酸になる。体内でアミノ酸が多いと、血液が酸性になり、身体はそれを中和するため骨の中のカルシウムを溶かしてしまう。
  • 3:インスリン様成長因子。
  • 4:穀物は牧草に比べ、脂質が多いので、乳脂肪を多い牛乳が生産出来るので、コストのメリットに増して、製品の品質のメリットもあると好んで使用される。
  • 5:アンモニア、フェノール、インドール、硫化水素、など。

UHTミルク、いわゆるロングライルミルクを消費するのは論外だな。殺菌処理のため、栄養素が激減する(そのため、元々そのためである子牛に与えると1週間程度で死亡するといった研究がある)し、防腐剤も摂取する事になるからな。』

子牛は生まれた時は50kg程度ですが、2年で500kgの成牛になります。牛乳は子牛のための完全栄養食品であることは間違いないでしょう。身体が早く大きくなるための物質が満載です。それを反対に考えると、「早熟」「早老」を促すモノでありますね。なので、人間でも成長している時期には有用かもしれませんが、生涯をとおしては上の表をみても判るように疑問点が多くみられるのではないでしょうか?ではカルシウム源どうするか?の質問が出そうですが、いくらでももっと安全な代替品があります。(註6)。

  • 6:カルシウムの件はまたの機会にひとりごとしましょう。

『一般的に購入できる「大量生産された牛乳は危険であるので一切飲むな」、とは言わないが、質と量を考えて適量(成人の場合は嗜好品程度)摂取するのが良いのではないかと思う。質は広々とした牧場で牧草を食べている牛の高温殺菌してない絞りたて牛乳が理想的だけと、普通の生活してたらなかなか入手できないですよね。なのでやはり量を制限するしかないですな。』


 

錯覚してますよね:洗剤編

By: Kazusei Akiyama, MD

Half Moon. Sao Paulo. Caju©2018


2018年9月

錯覚してますよね:洗剤編

 

我々の生活の中ではあまりにも普及していて、あって当たり前のようなモノが多々あります。それらには本当に便利であるため、生活の足しになるモノも沢山あります。しかし、はたして便利であるのか、無くてはないモノなのか、生活の質を高めているのか疑問が出るモノも色々あると考えます。そう言った目で見れば、周りには我々が「良いと思って」錯覚しているものが結構あるのではないでしょうか?これらに焦点をあてる「錯覚してますよね」シリーズを開始します。

シリーズ第一弾は「洗剤」です。言葉のとおり、「洗う」ための「汚れをおとす」ための製品の総称ですが、現在ではほぼ「合成洗剤」の事を示します。人類の歴史で一番古い洗剤は「石鹸」ですが洗剤とは言わないですね。いわゆる洗剤の主作用は「界面活性作用」であり、油を含む汚れを水に分散させる作用が洗浄能力になります(註1)。合成洗剤は第一次世界大戦中にドイツで発明されたとされており、先進国での現在のような普及は洗濯機の普及と関連があると言われます(註2)。1950年代には石油を原料にした合成洗剤が普及し始め、洗濯や掃除のみではなく、食器洗いや身体を洗う製品などに発展しました。

  • 1:水に溶ける汚れは水洗でおちるので洗剤は不要。
  • 2:洗浄力が強く、石鹸に比べ、水溶性に優れ、石けんカスが発生しないため。

『そう、髪の毛を洗うシャンプーやボディーソープは食器洗い洗剤や液体の洗濯洗剤、掃除用洗剤と同じである。これを知ってる人はあまり多くないのがびっくりだな。この話をすると全然違う物質であると思っている人が多い。濃度や添加物などが違うだけで、基本的な界面活性剤は全く同じなのだ。思うに石鹸が廃れた原因は、使用開始(泡立てる)するのに合成洗剤より時間と手間がかかる(といっても数秒の話ですけどね)のと、巧みな宣伝のためではないか。非常に強い洗浄力があるので、それをうたい文句にできるし、石鹸使用の難点とされる石けんカスが出ないので、念入りに水洗いしなくても仕上がる所も良かったのでは?』

『そのかわり、食器に残留して、食べ物と一緒に体内に入ってくる。』

ということで普及してます、合成洗剤。

しかしそのために幾つか問題が出現しているのですが、24人の読者様は承知されてますよね。一つが環境汚染。また、身体への毒性。合成洗剤は残留性が高く、自然界で分解されるのに時間がかかるため、下水で排出されたものが「発泡」という現象として現れます。

写真1と2:サンパウロ市の下流のチエテ川の発泡

写真1:Pirapora do Bom Jesus市、2015年。

写真2:Salto市、2017年。

動画:サンパウロ市より約70km下流のチエテ川(2024年10月)

下水道が整備された先進国では発泡はおこらなくなっているようですが、下水処理でも分解しきれなく、汚泥中に残留してしまいます。界面活性剤は細胞膜を不安定にさせ、最終的には細胞膜を破壊してしまうので、有毒性の物質と認定されます(註3)。問題はこの界面活性が持続する合成洗剤は環境中に一定濃度以上あると生物毒になることです。石鹸ももちろん界面活性剤ですが、水中の硬質(カルシウムやマグネシウム)と反応し、石けんカスになってしまい、素早く不活性化されます。また、石けんカスは自然界の細菌や魚のエサになってしまうので、残留しにくいのが大きな違いです。

  • 3:生物の細胞は細胞膜表面で物質代謝を行う。細胞膜は繊細な界面で成立しており、界面活性剤はこの機能を破壊する。

『ここで大きな錯覚が、「合成洗剤の方が汚れがよくおちる、簡単におちる」だろう。確かに洗浄力は強力なのだが、石鹸より優れているとか、何倍ものものでもない。しかし、物質の性質上、接触するものにダメージをあたえてしまうし、(註4)、色んな添加物が入っているのでそれら物質(註5)の毒性もあるし、その対策が必要になってくるのだな。洗髪の場合はシャンプーの後、リンスでコーティングするわけだな。洗濯の場合は柔軟剤をつける。食器洗いの場合は手袋を着用する。そうすると今度は「対策」の物質の毒性に直面する事になるのだ(註6)』

  • 4:皮膚の場合、炎症をおこす、髪の毛の場合、ツヤがなくなり細くなってくる、洗濯物の場合、繊維がゴワゴワしてくる、等。
  • 5:洗浄力増強剤(水軟化剤、キレート剤、pH調整剤、アルカリ剤、分散剤等)、保持剤(泡調整剤、溶剤、安定化剤)、その他(酵素、蛍光増白剤、 漂白剤 )、香料、染料、柔軟剤など。
  • 6:ゴムにアレルギーを起こす;柔軟剤も界面活性剤なので、それがずっと皮膚に接触しているので経皮毒になる。

『皆さん、石鹸でも十分に汚れ落ちますよ。』

『食器も洗えるし、洗髪、掃除、洗濯もできます。何より手や頭皮の皮膚が荒れなくなります。抜け毛減る、髪の毛のボリュームが増えるなど髪の元気が戻るとの報告があります(註7)。環境にも優しい石鹸は(註8「次世代にどんな地球を残したいか」を考えておられる子供さんのいる家庭の味方と言えるでしょう。嫌がられる石けんカスはちゃんと「すすぎ」ができたか判る材料になりますね。目からうろこですよ。』

  • 7:これはある程度使い続けないと効果が現れない。
  • 8:石鹸も環境問題がない訳ではない。例えば原料となるヤシの木の栽培のため、熱帯雨林を伐採している地域もあり、問題化。

ではどの様に石鹸を使うか、次に提案です:

台所:石鹸はブラジルではCoco石鹸が良いとされるが、洗濯石鹸でも使えます。石鹸もさることながら、食器洗いで重要なのは、「まず機械的に汚れをおとす」事で、これには「たわし」や「食器洗いブラシ」を使います(註9)。油などは、あらかじめキッチンペーパー等で大まかとっておきます。普通のスポンジで水たっぷりで泡立て、洗い、石けんカスが残らない様水洗いして終わりです(註10)。

『面白い事に、始めはあまり上手くいかない。理由は水の量だな。洗剤で洗う時の水の量で使うと、少ないので泡が立たない。石鹸使う時は、水たっぷりが重要です。』

  • 9:このやり方は最近の医療でも見直され、外傷の手当には「赤チン」の塗布ではなく、石鹸とブラシで洗い流すのが最も効果的。
  • 10:これで合成洗剤が残留した食器で食べる事が避けられる。

洗髪:シャンプーは石鹸シャンプーが入手できれば液体で使用できます。なければ普通の石鹸、または中性石鹸で洗えます。まず水たっぷりで髪を洗い、石鹸を手でしっかり泡立て、まず頭皮からマッサージするように洗い、次ぎに髪です。しっかり洗い流さないと石けんカスのためベタベタした仕上がりになります。筆者は2回洗いが一番効果的ではないかと思ってます。また、石鹸は性質上弱アルカリ性なので、髪のキューティクルを開き、洗ったままだとゴワゴワしますので、弱酸性のリンスを使います。このリンスは商品では「石鹸シャンプー用リンス」として出てますが、自作でも十分いけます。自作する場合は、食用酢、レモン汁、クエン酸水のどれでも可です(註11)が酢の匂いが苦手であれば、クエン酸(註12)がお勧めです。石鹸は以外と洗浄力があるので、毛染めや化学的なパーマなど頭髪に化学物質をコーティングしている場合は取れてしまう可能性がありますので、事前に石鹸利用可を確認するほうが無難でしょう。

『美容のためとはいえ、そのような化学製品を頭皮に付着させている事自体にも問題ありと思うけど。』

  • 11:水2リットルに対し、大さじ1くらい。クエン酸水は水200mlにクエン酸小さじ1で作っておいたものをさらに希釈する。
  • 12:柑橘類の酸。ポル語名、acido citrico。専門薬局や健康食品店、通販などでキロ20レアル前後で売ってます。

洗濯:粉石鹸を使う。しかし高価のため、クエン酸を使うのがお勧めです。水10リットルに対してクエン酸10gの溶液で洗濯でき、柔軟剤は不要です。

『筆者は職業柄毎日何十回も手を洗うが、残念な事に保健所の規則で医療機関で使用される石鹸はポンプ式でないとダメなのだな。これは接触性の感染症を予防する措置だから仕方ないけど、手が荒れる 三倍に薄めて使ってるのだけど。ブラジルで流通している液体石鹸はどれも洗剤なのだ。』


 

心にグッときますね

By: Kazusei Akiyama, MD

Kema Komon. Osaka. Caju©2018


2018年8月

心にグッときますね

FIFAワールドカップも終わり、ブラジルの社会と経済生活が正常に戻りました(註1)。今年は総選挙がおこなわれるので、残念ながら平穏な生活は数週間しかありませんね。選挙運動が始まれば、ウソの垂れ流しに曝され、左派と右派の攻勢の板挟みになる生活が待ってます

このところ、このコラムは話の内容が医学専門的すぎて面白くないと24人の読者様からご指摘いただきました。確かに一年前から遡ってみると医学の解説書みたいになっているところもあり、反省の材料が多々あります。そこで、どの様なテーマがいいのか、広く読者様に応募しますので、hitorigoto@kazusei.med.brまでご一報いただければと思います。従って、今月は全然医学とは関係のないひとりごとです。

2017年にインターネットで炎上したAna Vilela作詞作曲のブラジル音楽、Trem Bala。直訳では「弾丸列車」、新幹線とか特急列車の意味ですが、ブラジル人の心にグッときた歌詞で、色んなカバーが出てます。その内、筆者が一番好きなのが、Música Caipiraジャンルで活躍しているMayck&Lyanの二人(図1)(註2)のバージョンです。

  • 2:「マイクとリアン」と読みます。

1Mayck&Lyan

カイピラ音楽は近年Música Sertanejaとも呼ばれ、いわゆるブラジルの内陸、「田舎の音楽」です。日本人にブラジル音楽というと、やはりボサノバとサンバの連想になると思いますが、実はこの田舎音楽がブラジルでは一番売上げが大きいのです。Caipiraとは「サンパウロの田舎者」の意味の言葉ですが、このサンパウロ、昔はとてつもなく広大な大きさなのです。図2でわかるようにアマゾン地方が始まるあたりまでサンパウロだったのです。

21709年時点でのブラジルの行政区画

ここで生まれた田舎音楽はポルトガルの10弦ギターを原点にしたヴィオラ・カイピラ(viola caipira)の伴奏を使い、基本的にペアで歌い、ホモフォニー(homophony)(註3)のデュエットボーカル(註4)になります。歌詞の内容はブラジルの田舎の生活模写や自然の秀美が主でしたが、近年では恋愛や人間関係などのテーマも増えているようです(註5)。今回紹介しているペアは高音(テノール)が一般的なMúsica Caipiraの中、低音で珍しく、筆者は好きなアーティストです。

  • 3:最上声部が独立したリズムによる主旋律となり、他の声部が伴奏となっている楽曲。
  • 4:同性のペアが一般的。男女の異性ペアは珍しい。
  • 5:これは近年都市部でもこの音楽のジャンルが浸透してきているので、テーマも変化してきていると言われてます。

Trem Balaの歌詞と筆者の和訳は次ぎのとおりです。インターネットで閲覧できますので、ご存じない方は是非一度この様なブラジル音楽もあるのかと、ご覧いただければと思います。

Mayck&LyanTrem Balahttps://youtu.be/5vyIl4anjcM

Ana Vilelaのオリジナルはこちら:https://youtu.be/sWhy1VcvvgY


ポルトガル語の歌詞はスペースの都合でピンドラマには記載されてません。

TREM BALA

(Ana Vilela)

Não é sobre ter todas as pessoas do mundo pra si

É sobre saber que em algum lugar alguém zela por ti

É sobre cantar e poder escutar mais do que a própria voz

É sobre dançar na chuva de vida que cai sobre nós

É saber se sentir infinito num universo tão vasto e bonito

É saber sonhar

E, então, fazer valer a pena cada verso daquele poema sobre acreditar

Não é sobre chegar no topo do mundo e saber que venceu

É sobre escalar e sentir que o caminho te fortaleceu

É sobre ser abrigo e também ter morada em outros corações

E assim ter amigos contigo em todas as situações

A gente não pode ter tudo

Qual seria a graça do mundo se fosse assim?

Por isso, eu prefiro sorriso e os presentes que a vida trouxe pra perto de mim

Não é sobre tudo que o seu dinheiro é capaz de comprar

E sim sobre cada momento sorriso a se compartilhar

Também não é sobre correr contra o tempo querer sempre mais

Porque quando menos se espera a vida já ficou pra trás

Segura seu filho no colo

Sorria e abrace seus pais

Enquanto estão aqui

‘Que a vida é trem-bala, parceiro

E a gente é só passageiro prestes a partir

Segura seu filho no colo

Sorria e abrace seus pais

Enquanto estão aqui

‘Que a vida é trem-bala, parceiro

E a gente é só passageiro prestes a partir


トレン・バーラ

アナ・ヴィレラ

この世界の全ての人を自分のものにすることじゃなくて

どこかで誰かが自分の事を守ってくれる人がいることなんだ

歌った時に自分の声以上を聞くことができることなんだ

人生の雨の中でダンスすることなんだ

この広大で綺麗な宇宙で限界をつけずに夢を見ることなんだ

信じる事についての詩に価値を感じることなんだ

世界の頂点に立って勝ったと知ることではないんだ

登る時に進んだ道が自分を強くした事を感じることなんだ

誰かを受け入れて、そして他の心にも住処を作ることなんだ

それでどんな時でも友達を持つことなんだ

僕たちは全部になれないんだ

そうであったらこの世界は面白くないでしょ?

だから僕は、笑顔と人生が自分の周りにもってきてくれた贈り物を選ぶのさ

お金が買える事についてじゃないんだ

共有出来る笑顔とあらゆる瞬間についてなんだ

時間に逆らってもっと求めることではないんだ

だって気付いたら人生はもう置いて行かれてるからさ

子供を抱っこして

親がまだここにいる間に笑顔で抱きしめるんだ

人生は特急列車なんだよ

僕たちは出発寸前の乗客でしかないんだから

子供を抱っこして

親がまだここにいる間に笑顔で抱きしめるんだ

人生は特急列車なんだよ

僕たちは出発寸前の乗客でしかないんだから


 

コッパ・ビアアグラなんでしょうか?

By: Kazusei Akiyama, MD

Contrast. Himeji. Caju©2017


2018年7月

コッパ・ビアアグラなんでしょうか?

さて世の中は4年に一度のお祭り、FIFAワールドカップの時期です(註0)。今回はロシア。前回はブラジルで開催され、ドイツにボロ負けして決勝進出を逃し(註1)たのは記憶に新しいです。その後、2015FIFA汚職事件が勃発し、当地のサッカー連盟幹部も泥沼にどっぷり浸かっているのが判明しました(註2)。同時に史上最悪とされる贈収賄事件のラバジャット作戦が進み(註3)世の中「汚職」一点張りになり、毎日メディアに出る汚職ニュースにこれでもかと曝されてます。さらに、前大統領罷免で酷くなった左派と右派の攻防(註4)の板挟みになり、もう4年も続く不況に生活が大変なブラジル人の疲弊に拍車がかかってます。

  • 0:ポルトガル語では「Copa do Mundo FIFA コッパ・ド・ムンド・フィッファ」
  • 1:その後、3位決定戦も惨敗。20148月のひとりごとを参照
  • 2:このため、ブラジルサッカー連盟の元会長はスイスで逮捕され、現在米国で拘置されている。また、前会長は国際指名手配されており、ブラジル国外に出られないため、FIFA理事を解任された。
  • 3:これでブラジル元大統領、国営石油公社ペトロブラス前社長、ゼネコン最大手の社長などが収監された。
  • 4:に伴う主張合戦、デマ、強迫、フェイクニュースなども

『「汚職スキャンダル地獄」と呼ばれてますな。』

この様な社会状況で開催されたコッパ。ブラジルではコッパの時は、ブラジル代表チームを応援しないのは「非国民」みたいな感情があり、「もちろん」国民全体が一丸となってセレソンを応援するのが「当たり前」でしたが、今回は全く雰囲気が違います。「もうどうでもいい」感情が多く見当たります。

『「それどころではない」と、生活に追われているから?(註5)』

  • 5:それだけではないでしょうけど、これについては又別にひとりごとできますね。

結果、応援グッズの売り上げは伸びない、テレビも売れない、人々は熱狂しないのないないつくしで盛り上がりません。遂にCopa Viagraという言葉も出てきました。

このビアアグラは勃起障害治療薬のバイアグラの事ですね。勃起障害は性機能障害の一つで、後者は以前「性的インポテンツ」と呼ばれており、つまり、ポテンツ=力が足りないから当地では性的発言でなくても「力不足」の場合の対処に「バイアグラでも飲めば?(註6)」といった表現に発展してます。不祥事の多いサッカー連盟や代表選手などの力不足にも絡んでいるのでしょう。今月のひとりごとはこのバイアグラに焦点を当ててみます。

  • 6Toma um Viagra

男性の「性機能障害」は勃起障害の他に射精障害や性欲低下があります。英語名称 erectile dysfunction の頭文字を取ってEDと通称されてます。EDは「満足な性行為を行うのに十分な勃起を得られないか、または維持できない状態が3ヶ月以上持続している」であり、また、「通常性交のチャンスの75%以上で性交が行えない状態」とも定義されます。

『事情が事情だけに大らかに言えない訳だな。』

EDは原因により次のように分類されます。

分類

説明

器質性

血管性

動脈性

動脈硬化の関与が殆ど

海綿体性

血流を受ける側の問題

混合性

神経性

陰部への刺激の神経伝達の問題

解剖性

骨盤内手術の既往が主、陰茎自体の異常

内分泌性

勃起に関する成分代謝の問題。性腺機能低下。

心因性(機能性)

解剖学的に問題ないが、不全。ストレスが多い。

混合性

EDの大半は陰茎に流入する血液量が減少するのが主な原因です。動脈硬化と併存が多いため、血管性の疑いの場合、他の臓器においても血流障害がありうるので、動脈硬化性変化を検査する必要があります。50歳台より増加し、日本人の罹患率は40代前半16%40代後半20%50代前半36%50代後半47%60代前半57%60代後半70%と報告されてます。しかし20歳台の若年層でもみられ、これは心因性のものが多いです(註7)。リスクファクターは多岐にわたり、年齢、喫煙、高血圧、糖尿病、脂質異常、肥満、運動不足、薬剤使用、うつ、ストレス、教育不良などがあります。

  • 7:新婚性勃起障害というのもありますね。

治療は1998年に販売開始になった「クエン酸シルデナフィル」=バイアグラが革命を起こしたと言って間違いないでしょう。かつては治療が難しい障害であったのが、患者単体で薬物服用して治療に当たれるようにできるようになり、EDの認知度や患者の積極性も変化しました。この薬物はPDE5阻害と呼ばれる作用を持ち、シルデナフィル以外に2種類市販されてます(註8)。これら経口勃起障害治療薬は器質性障害も含め殆どEDに使用され、有効性は7~8割とされており、「比較的」安全な薬です。併用禁忌は狭心症の治療薬であるニトログリセリンなど硝酸薬であり、併用するとショック状態になる危険性があります。また、日本語には「腹上死」(註9)とあるように、性交は体力を使うため、バイアグラ服用時に狭心発作がおき、搬送された救急病院でニトログリセリンを投与されて症状が悪化するケースもあります。従って、典型的な医師の処方薬ですが(註10)こっそり使いたい人が後を絶たないので日本ではインターネットによる個人輸入が盛んです(註11)。

  • 82004年販売のレビトラ、2007年販売のシリアス。
  • 9:医学用語では「性交死」。
  • 10:処方薬は必ずメリットとデメリットを天秤にかけて出すため。
  • 11:日本国内のインターネットによる個人輸入では半数強が偽造薬品との試算がある。

『間違いなく50歳以上の男性の性交には役立つ薬物だな。但し、性欲増強目的には使えない。PDE5阻害薬は自分の勃起を補助する薬であって性的刺激がないと、薬の効果が発現しないから。(註12)』

  • 12:勃起をおこす薬はある。血管作動性薬剤であるプロスタグランジンE1またはパパベリン塩酸塩を陰茎海綿体に注射するといやでも勃起する。

性交は人間の存在そのものと関係するものです。EDは上述のように、かなり罹患率の高い健康上の問題なので、1人(あるいは2人)で困らず、医師に相談してみましょう。

『さてコッパ・ビアアグラ、セレソンは決勝トーナメントに進出できたみたいだけど、バイアグラのんでパワーアップするのでしょうか?』