やはり「予防的乳房切除」についてはひとりごとしないといけないよな。

By: Kazusei Akiyama, MD


2013年07月

今月のひとりごと:『やはり「予防的乳房切除」についてはひとりごとしないといけないよな。』

このコラムの22人の読者様、ご無沙汰してます。先月と先々月と2ヶ月連続で休稿してしまい、申し訳なく思ってます。5月号は学会やらで忙しくダメになり、6月号はやるぞ!と決意していた矢先、筆者診療所のデータなどがすべて入っているサーバーが死んでしまい(註1)、修復で大変だったのでした。この2ヶ月で医療関連だけでも色々ニュースがありましたが(註2)一番衝撃的かつ医学界で物議をであったのは米人女優アンジェリーナ・ジョリーが受けた乳癌予防手術だと思います。

『正式な医学的用語では「予防的両乳房切除及び再建手術」ですな。現時点で一番乳癌と関連ありとされている遺伝子異変(註3)があり、母親や親戚が乳癌で死亡しているのでガンになる前に、乳房を全部取っちまったのだな。その後シリコンインプラントで再建したのだ。この場合、予防処置であるため、皮膚と乳輪・乳頭が残る。乳癌のリスクを算出する疫学モデル(註4)が存在するが、彼女の場合、乳癌のリスクが87%であったのが切除により5%に減少したとされる。確かにガンになる組織そのものが(ほとんど)無くなってしまうため、リスクが減るのは減るのだが、それでもゼロになるわけではない(註5)。』

この様な疫学的モデルを根拠にした数字に基づいて、特に米国では予防的切除が行われているのです。女性の象徴でもある乳房(註6)を切除することは、身体的ダメージもさることながら、精神的ダメージも大きいことは簡単に想像がつきます。乳癌の予防切除は、「片側」つまり、一方がガンになった場合でリスクが高い患者さん(註7)に実施することから始まったのですが、ここでのポイントは「予防的」かつ「両側」つまり、まだ健康な組織をなくしてしまう事でしょう。既に発病しているので片側を切除し、ではその反対側も予防切除しましょうという状況ではかなり違う。高確率にしても、まだなってないガンに対して全部摘出してしまうのはたしかにジョリーの声明にもあった「決断」が必要ですね。

『ジョリーの行動が絶唱されたのは、主に米国だった。彼の地の事情を反映しているからだな(註8)。すでに両側全摘を受けていたりやそれをすべきであると医師に言われている女性はは多々いるもようで、それらの女性達に対して、勇気をもって対処する事が大切である事を彼女は訴えているわけだな。ま~完璧に西洋医学の考え方であって、予防ではあるかもしれないけれど、東洋医学の「未病を治す」とは性質の違うものだろう。筆者は問題はガンになりやすい状況や環境にあるのではないかと思う(註9)。乳癌は前出の遺伝子異変も重要だが、それがない一般の女性のリスク要因では、女性ホルモンのエストロゲンが多い状態、飲酒、高身長(註10)、社会的地位が高い(註11)のが確実とされている(註12)。これら要因への注意、改善こそ重要だと思うけど。いずれにしても、「女らしさ」を演出してくれるエストロゲンと関係のあるので、色っぽい女性ほど乳癌になりやすいという事だな。』

日本人は欧米人ほど乳癌になりませんが、日本人女性のガンでは一番多い事実には間違いありません。30代はそれほどではありませんが、40代で急増し、40代後半にピークがあり、50代から減少する特徴です。30代後半以上の22人の読者様はぜひ毎年婦人科で乳癌検診を受けられるようお願いします。


  • 註1:停電が直接の原因であったようだ。
  • 註2:その他に「インフルエンザがサンパウロ州に集中して死亡例が多い」、「最近流行のデモに巻き込まれて催涙ガスを吸った時の症状と対策」、「子宮癌予防ワクチンの副作用事情」など話題の多い2ヶ月でした。
  • 註3:BRAC1とBRAC2という遺伝子。
  • 註4:ゲイルモデル、クラウス表など
  • 註5:なので、ジョリーの声明での” I can tell my children they don’t need to fear they’ll lose me to breast cancer.”「わたしの子どもたちに、わたしをがんで失うことを恐れなくていいと言うことができます」というの正確ではないぞ。
  • 註6:欧米社会は明らかにオッパイ社会だろう。
  • 註7:リスクは個人差がある。現時点で一番高いリスクが:女性、加齢、BRCA1・BRCA2の遺伝子変異、第一度近親に乳癌、乳癌の既往歴、乳腺密度が高い、のこの6点である。
  • 註8:欧州や日本などの先進国では否定する論調の医療関係者が多かった。実際、現時点では高いリスクの患者さんは頻繁にチェックして、なれば初期発見で治療にもっていくのが一般的な見解だ。
  • 註9:日本人女性のあいだでも間違いなく増えている。日本国立ガンセンターのデータでは1980から2000の20年間で発病率が88.1%増えている。正確にいうと年齢調整罹患率。対人口10万人で、1980年が25.2件、2000年が47.4件。その間、米国の増加は33.3%。
  • 註10:になるような食生活?
  • 註11:つまり出産回数や授乳回数が少ない。
  • 註12:その他関連が証明されていないものが、喫煙(閉経前は関連があるようだ)、高脂肪食、制汗剤の使用、乳房インプラント、環境汚染、夜間勤務などがある。

殴っているわけではないのですけど。マッサージでもないよ。

By: Kazusei Akiyama, MD


2013年04月

今月のひとりごと:『殴っているわけではないのですけど。マッサージでもないよ。』

ドンドン、トントン、ゴリゴリ。

「あ~先生、そこそこ、気持ちイ~」。

診察室での一場面です。”変な事”をしているわけではありません。診察のうちの身体検査を実施している間に患者さんとの会話です。

「だから、マッサージじゃないから。」

「へぇ~、そ~なんだ。でも叩いて何か判るのですか?」

「判るよ、もちろん。色々。打診という診察技術です。」

『これも医療文化の違いですかね。日本では保険診療がメインだから診察時間が短いのだな。数をこなさないと経営が成り立たないのが実際なのだ。じっくり問診や身体検査をしている時間がない(註1)。だからやらない(できない)。患者側もそれに慣れているから、そういうモノがあるとも思ってもいない。筆者の診療所のように時間をかけてじっくり診る、考える方法には(註2)慣れていないので今月のひとりごとのような場面になるのだな。当地でも現地の保険、Convenioコンベニオで診療している所は事情は同じだから、国の違いというより、報酬制度の違いによるものだな。』

身体検査の正確な名称は「臨床診察的な手法による検査」です。これには視診、打診、聴診、触診があります。だいたい漢字の意味のとおりですね。視診は体の発達具合や変形、肥痩の程度、障害の有無、歩行機能の状態、粘膜の検査で貧血や黄疸の有無、浮腫、発汗、発疹や湿疹、病変の有無などを診ます。打診は体内の臓器異常や腫脹の有無を診ます。聴診では心音、肺音、腸の蠕動、動脈雑音などがわかります。触診は臓器肥大や腫瘤の有無、リンパ腺の異常、肩こりなどのこりや圧痛点などを診ます。どうです、色々わかるでしょ?

『筆者はこの他に、東洋医学的な診察を取り入れているので、少し重複するけど、四診(ししん、望診、聞診、問診、切診)があるのだ。望診:見た目。体格、顔色、態度などの他に、舌の観察。聞診:声や咳の音(註3)。問診:これは一番西洋医学と同様だな。自覚症状、現病歴、既往症、家族歴など。切診:触診と似ているけど、観ているモノが違う。脈の観察や腹診(註4)、皮膚や関節の状態など。だから、実は診察は患者さんが待合に入った時から始まっているのだ。声の状態や咳のタイプ、歩き方などが聞こえているよ。』


註1:ので、レントゲンだの血液検査だの即検査になるのだな。

註2:検査が外注のため、患者さんが検査機関に出向く必要がある。面倒だし、時間がかかるので、出来るだけその場で解決を目指すのでじっくりやる訳です。例えば、肺炎などは診察でほとんどわかります。レントゲンは確認のためだな。その代わり、診察費が高いですね。

註3:望診には元々これ以外に嗅覚による観察というのがあったのだな。排泄物の臭いや味など。さすがにこれは最近はしないな。体臭や香料の使い方は観察するけど。

註4:腹診は漢方医学では非常に重要で腹壁の温度や緊張、圧痛点などを観察する。


ピロリ菌の常識はまだまだ変わるのだろうな。

By: Kazusei Akiyama, MD


2013年03月

今月のひとりごと:『ピロリ菌の常識はまだまだ変わるのだろうな。』

先月のニュースで「ピロリ菌の除菌保険適用拡大」がありました。これは2013年1月の日本の厚生労働省の専門部会により、除菌により胃炎が改善することが確認されたためです。厚労省にはいろんな疾病の専門部会がありますが、なぜ全国的なニュースになるかというと、ピロリ菌(註0)は胃ガンの原因となりうるため、依然として日本人には胃ガンが多いためです(註1)。外的生物がガンの原因になることはあります。C型肝炎ウイルスと肝臓ガン、ヒトパピロマウイルスと子宮頸ガンや咽頭ガンなどがよく知られた例です(註2)。この場合ほとんどがウイルスなのですが、ピロリ菌は唯一ガンの原因になるバクテリアなのです。

『ピロリ菌が胃ガンの病原体であることが認定されたのは比較的最近で、1994年の事である。19世紀から20世紀にかけて細菌研究が盛んであったが、その頃には胃内らせん菌がいろいろ観察されていたのだな。菌の発見は1919年で、日本の研究者小林六造によるものとされている。しかし胃の中のバクテリアと胃の病気の関連はあまりわからなかったのだな。1954年には米国の大先生が胃内で細菌が生存できないとピロリ菌の存在そのものを否定してから(註3)は当分忘れられていたのだ。これは存在しないのではなく、当時の検査方法や、細菌の培養技術では検出されなかたったのだな(註4)。1983年にようやくオーストラリアの研究者達がヒトの胃内菌を培養することに成功した。これが再発見だな。でもその時点ではまだ病原体としての意味は不明であった。当時は胃炎や胃潰瘍はストレスが原因、胃ガンは遺伝が主な原因であると考えられていた(註5)。病原性の証明は直接というより、間接的に疫学的にされたのだ。つまり、慢性胃炎や胃潰瘍、胃ガンの患者の多くにピロリ菌が検出されることから明らかになっていった(註6)。』

1994年より胃ガンの病原体である(註7)ことが認定されて以来、除菌の対象になってます。日本の健康保険制度では2000年より「胃潰瘍」と「十二指腸潰瘍」に対して除菌が対象となり、ようやく今年から「慢性胃炎」が追加適応となりました。(註8)ピロリ菌感染は上下水道などの衛生環境が良いほど感染率が低下することが分かってます。邦人では世代が高いほど、感染率が高く、40代以上だと50%以上、20代だと25%くらいです。みんな感染しているから、問題ないという説もありますが、除菌しないから感染がなくならないという説もあります。除菌方法もいくつかあるし、2回除菌してもうまくいかなかった場合はどうするのかと言う問題や除菌をすると逆流性食道炎になるケースがある事実など宿題が残ってますが(註9)現時点では「ピロリ菌=除菌」の流れのようですね。20人の読者様は大丈夫ですか?


註0:ヘリコバクターピロリ、Helicobacter pylori。らせん状のカンピロバクター目の真正細菌、ヒトの胃に棲む。

註1:早期発見や早期治療が進んだため、胃ガンのための死亡は減少してるが、悪性癌の発病率としては全体の2位。

註2:ヒトパピロマウイルスがどうして咽頭にたどり着くのかは、想像すれは分かるよな。

註3:胃の中は胃酸、つまり塩酸のため殺菌作用があり、細菌にとっては劣悪な環境であるため生息できないと考えられた。

註4:「見えないモノは否定する」西洋の考え方そのものだな。適当な器具がなかったり、向こうを向いていたり、単に見る能力がなかったりするのだけど。

註5:たった30年前の話ですよ。

註6:これらの発見のより、オーストラリアの研究者達は2005年のノーベル医学賞を受賞している。

註7:ピロリ菌だけが胃ガンの原因ではないが、重要であることには間違いないであろう。

註8:これら以外に「胃MALTリンパ腫」、「突発性血小板減少性紫斑病」、「早期胃癌内視鏡手術」が適応。

註9:日本人が胃癌になりやすいのは、菌の毒性とそれに対する個人の反応(遺伝子が関与)と毒性の強い菌株が多いことが挙げられている。それとやっぱり、ストレスも多いのではないのですかね?


死体識別には有効だよな。

By: Kazusei Akiyama, MD


2013年02月

今月のひとりごと:『死体識別には有効だよな。』

いきなりギョッとするひとりごとでしょうか?なにが有効かというと、「入れ墨」です。肌の露出が多い夏とカーニバルならではのひとりごとです。そうです、最近日本を含め入れ墨をする人が増えています。ブラジルでは特にここ10年間で爆発的に増えた感じです。茶髪解禁、ピアス解禁、ヘア解禁などがあったように、入れ墨解禁になったのでしょう。「タトゥー」と呼び方を変えれば、ファッション性が出てくるらしいです。

『入れ墨もタトゥーも本質的に同じモノだな。要するに皮膚を傷つけ、そこに色素を入れて着色する技術である。特に日本の技は高度な水準とされる。そのためわざわざ和彫りという名称があるが、和か洋は単に入れ墨のデザインで分類される(註1)。和彫りは日本の暴力団構成員が好むデザインだな。洋彫りはなんか描画がごちゃごちゃしていることが多いように見える。』

入れ墨の目的は「識別」(註2)「刑罰」(註3)「ファッション」(註4)などですが、実は医学的用途もあるのです。皮膚病の一種でvitiligo、尋常性白斑(註5)がありますが、これがとても難治で、投薬や紫外線照射などが効かない場合、患部に正常の皮膚色を入れ墨するのが一つの治療法です。医学では唯一入れ墨が役立つ場面です。その他に医学で入れ墨が出てくるのは、「除去手術」と「検査に関与」です。筆者のような一般内科では後者が重要ですね。一番怖いのがMRI検査です。MRIは強力な磁場を利用した検査器機のため、金属性の物質が影響を受けます。例えば心臓ペースメーカや血管手術の金属クリップは磁力で移動してしまうので検査できません。入れ墨の場合、色素に酸化鉄などの金属が含まれると火傷や痛み(註6)(註7)、変色などのトラブルになることがあります。ので、検査が必要な場合入れ墨があるかどうか把握しないといけません。実際には入れ墨部分を冷却しながら検査をするのですが、できないこともあります(註8)。

『アートだかファッションだか反社会性行為だか人それぞれの好みがあるが、ブラジルで覧る入れ墨で美しいなと思うものは今まで出会ったことはないぞ。梵字、漢字、カタカナなども入れたがるのも特徴だと思う。それでいい加減な知識で入れるのが多いので、とんでもない意味のものや意味不明の入れ墨になってしまってたりして、バカ丸出しが結構あるぞ(註9)。医者としての意見は今回のひとりごと、「死体識別には有用」だな。バラバラ死体になった場合、入れ墨でだれか判明した例も多数あるぞ。かと言って、お勧めしませんが。』


1: 伝統的な日本式は手彫りのため、手彫りが和彫り、機械彫りが洋彫りと分類されることがあるがこれは誤りだな。

2: 囚人や軍人の個体識別、組織帰属など。

3: 中国の五刑の一つや江戸時代の刑罰など

4: 皮膚にアートや永久メイクなど美容目的。

5: 皮膚色素が不規則に損失する慢性皮膚疾患。自己免疫疾患の一種。

6: 金属片がある物を電子レンジに入れると、バチバチと発火するのと同じだな。註7: 金属粉の入ったメイクなども危険だぞ。

註8: もう一つの関与の例は皮膚が入れ墨だらけで、採血する時に血管が見えない。また、感染症、特にC型肝炎のリスクが高くなるとされる。

註9: hanzi smatterというブログに多数例あり。爆笑できます。


暑い時期は特に食べ物に注意が必要だぞ。

By: Kazusei Akiyama, MD


2013年01月

今月のひとりごと:『暑い時期は特に食べ物に注意が必要だぞ。』

謹賀新年。20人の読者様、今年もご愛読をよろしくお願いいたします。日本語で新年といえば寒い感覚ですが、ブラジル在住の我々は寒いどころか、暑くってしようがないですね。暑い寒いといえば、先月のクリスマスがとんでもないですよね。元々ヨーロッパの冬の行事なので、雪や防寒服(註1)などがあるし、伝統的な会食は寒い時期の高脂肪・高カロリー食です。日本では12月は寒いのでデコレーションに雪があっても気にならないのだと思いますが、ブラジルをはじめ、南半球では違和感(註2)があってもいいのではないでしょうか?クリスマス食は熱帯では合いませんよ。あんなモノを夜中から食べたら(註3)翌日は必ず胃もたれ、胸焼け、胃食道逆流(註4)ですよ。

前置きが長くなりましたが、今月のひとりごとは当地での夏場の病気についてです。まず圧倒的に多いのが下痢や腹痛です。詳しくはピンドラーマ2010年2月号でひとりごとしてますが、簡単にいうと1月頃は感染症系の下痢が頻繁にみられます。暑さで食べ物が傷みやすいのや、汚染系の感染症が増えるからです。

『作り置きの時間が長いポルキロやビュッフェのような食べ物展示型が要注意だな。対策は早い時間帯に行く、痛みやすいモノは避ける。温かい食べ物は安心かというとそうでもない。なぜかと言うと、場合によっては細菌繁殖に丁度良い温度帯になっていたりするから。汚染系は特に貝類が危ない。特に夏の後半は止めておいたほうが良いぞ。夏人口が増えて海水汚染がひどくなるから。』

3月頃になると冷えのための腹痛が増えます。夏の間中冷たい食べ物や飲み物を沢山とるほどなりやすいですね。内臓が冷えて、消化不良になったり、胃けいれんを起こしたりします。

暑いから食欲が無い、と冷たい物を食べてると、内臓が冷え、消化機能が低下し、さらに食欲が落ち、また冷たい物を食べる、の悪循環に陥るのだな。対策は夏にこそ温かい物、栄養がつく物を口にするだな。

次に多いのが所謂「風邪」です。薄着をしたり、クーラーのかけ過ぎが原因ではよく見られます。サンパウロは標高が高いので夜間気温が結構低くなるので要注意です。また駐在の邦人では北半球へ出張や旅行が多いので、「冬の風邪」もありえます。

『サンパウロでの対策は夜中に気温が落ちても大丈夫な「寝方」をしないといけない。というか、気温が落ちる大前提で寝る、つまり、暑くっても布団や毛布を用意しておく、窓を開けっ放しにして寝ない、だな。夜間気温が高いリオでの対策はなんといってもクーラーの調整を上手くすることだな。』

窓を開けっ放しで寝ると、夏に流行るデング熱も要注意です(註5)。ただしこの感染症はサンパウロ在住の患者さんであっても、旅行先で感染したケースしか診たことがありません。対策は感染を媒介する蚊に咬まれないようにする事(註6)ですね。

『あと、当地の夏場に注意が必要なのは、レプトスピラ症だな。大雨によくある洪水と関係がある。これも感染症の一種でネズミが自然宿主であり、都会の場合はドブネズミ。洪水で下水があふれ、口や皮膚から感染する。犬も感染するのでペットがいる家庭は注意!対策は都市部の洪水には裸足や草履で歩くなど、不用意に水に入らない事だな(註7)。』


1: サンタクロースの服は防寒服でしょ。

2: 典型的な植民地の移植文化だな。

3: クリスマスは25日の午前0時から始まるので、伝統的には会食はこの時間の前後から始まります。ところが、ブラジル人でもさすがにしんどいので、最近はもう少し普通の夕食の時間帯に開始する事もみられるようにようになってきた。

4: 胃食道逆流症(逆流性食道炎)の話しはピンドラーマ2011年6月号を参照。

5: 詳しくはデング熱の話し、ピンドラーマ2010年4月号を参照。

6: サンパウロ市内で感染しないということではないが、パウリスタ通り周辺では確率が低い。リオは風土病だから要注意だな。

7: ウイルス性肝炎とかの感染症もありうるぞ。とにかく都市部の洪水では水に入らない事!


あ~もうツケが廻ってきたのか…

By: Kazusei Akiyama, MD


2012年12月

今月のひとりごと:『あ~もうツケが廻ってきたのか

皆さんお元気でお過ごしでしょうか?師走になりました。今月のひとりごとは、一年のツケでも、飲み屋のツケでもありませんよ。ブラジルの「まともな教育がない社会」のツケの話しです。医療と関係ないとは言えません。

『当地では義務教育は6歳から9年間ある。Ensino Fundamental、基本教育と呼ばれるものだ。そういうことになっているが、実際には4年だけというのが内地にいくと結構多い。これは昔小学校と中学校の制度があり(註1)、どちらも4年ずつだった名残だそうだ。つまり、地方には小学校しかなかった。で、ず~とそのままで、1996年に法律が変わり、最低8年間学校にいかんとあかんよ(註2)、となっても絵に描いた餅状態になっているのだな。筆者の親友にミナス州教育局の上級職員を拝命されている女史がいるが、日本とも交流があり、関心が高い。先日でていた疑問が、日本の小学校(市立や区立などいわゆる公立)は「ある時点でグレードアップして中学校になるのか」だった。事情が分からないと「へ?」になるよな。で、事情は田舎が多いミナス州、つまり、くだんのず~と4年しかなかった学校を毎年1年ずつ足していき、9年まで到達することをやっているわけだ。そこで、日本でも同じように足していってしまいに次のステップの学校になるのかという質問なのだな:

「いや、小学校のままだよ。」

「じゃ、中学校はどうするの?」

「別に今から造らなくても、もうあるよ。」(註3) 

彼女は教養が無いわけでもないし(註4)、世間知らずというわけでもない。要するに感覚の問題になってくるのではないかと思う。2008年のUNESCOEFA Development Indexなる各国の教育開発指数によると(註5)ブラジルは調査された127カ国中88位であった。中程度の指数とされ、ましなアフリカの国なみ。南米ではエクアドルやボリビアより下位。実社会では要するに、「教育不足」だな。これが経済大国になり、社会活動するために色々ややこしいことをしないといけなくなってくると、スキル不足になってしまっている。間違いなく。(註6)』

20人の読者の皆さんは全般的なサービス低下を感じませんか?金融や小売業では顕著ではないでしょうか?医療に関しても、検査での受付がでたらめであったりします。アテンドする人によって対応が違いすぎます。信用があるとされている大手の検査機関F社でもそうですよ。サービスの内容は各自でチェックするしかないですね。教育不足は他に外食産業などでも現れます。食品の扱いが分からなかったり、間違っていたりすると食中毒の原因になりかねないです (註7)。この問題、教育不足に関してはこうしたら良いだろうと、筆者も提言のしようがありません でも予言はできます:「もっとひどくなるでしょう」。


11971年に廃止。

22010年より9年間。

3: 日本は増やすどころか、デフレ・少子化社会で、学校の統廃合が行われていますよね。

4: 教育論で大学院出ているのだな。

5: ほかにも指数が色々ありますが、ここではこれを使います。毎年リポートが出ていて、今年版もありますが、最後にまとめがあったのはこの2008年版です。学校に行ける状況(平等性)が大きいほど、文盲率(教育欠乏)が低いほど指数が高い。ちなみに1位日本、2位英国、3位ノルウェー。

6:ところが、現在の好景気のため、仕事にはありつけるので、「この程度」のスキルで十分だと勘違いする人間が増えている。ましてや、自分は勉強などしなくてもここまで来たのだと自慢する元国家元首の国だから、勘違いが加速する。そのため、実はなにもできないくにせ努力もせず、少し先でもっと高度な社会になった時に取り残される今の若い人たち、ロストジェネレーションが出るのではないかと言われている。

7:一番確率が高いのは消化器寄生虫感染だな。「トイレに行った後、ちゃんと手を洗う」といった教育すらできていない。


サンパウロ在住は運動不足になりやすい。

By: Kazusei Akiyama, MD


2012年11月

今月のひとりごと:『サンパウロ在住は運動不足になりやすい。』

日本では108日は「体育の日」でした。運動会の季節でもあります。国民の祝日に関する法律では体育の日の定義を「スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう」とされています。この場合、「したしむ」とはスポーツ観戦するのではなく、参加することですよね。運動の重要性は今更宣伝する必要はないと思いますが、しかしかえって当たり前すぎて日常では忘れがちになるのではないでしょうか?

『まずなぜ運動しないといけないかというと、「人間は植物ではなく動物であるから」だな。当然でしょう!とお叱りの声が聞こえるようだけど、簡単にいうとそうなのだ。つまり、動く事が大前提の生物であり、すべて生理現象はこの前提に準じている。動かないとちゃんと体が機能しませんよ、ということだな。以前にもひとりごとした低体温などはその例で、運動しないから体温が正常範囲で維持できなくなり、今度はそのため代謝や免疫機能が正常に働かなくなる。』

それでは運動不足の定義は?というと、これがはっきりした科学的なものがありません。一般的には「130分以上の運動を週に3回以上」で解消(註1)されると言われます。医学的には一番有名な説は「週間消費カロリーと摂取カロリーの差が2000kcal以下の場合、運動不足と定義」(註2)されるもので、この2000kcal以上を週3回以上に分けて運動で消費するのが理想と考えられてます。

『この2000キロカロリーというのが結構多いのだな。仮に4回に分けると、1500kcalになるのだが、時速6キロの早歩きで2時間くらい運動しないと消費しない。きついですな毎日、つまり7回に分けると約300kcalで、80分くらい。これもできるかどうか?ただ運動イコールカロリー消費ではなく、関節を動かす、柔軟や 筋力を維持する、有酸素活動をするなど、メニューの内容も重要なのだ。仮に無酸素運動である筋トレを300kcal分毎日してもいわゆる運動の効果は100%ないぞ(註3)。』

一番手っ取り早いのが歩くことなのですが、サンパウロに住んでいると自動車移動が多くなるので(註4)、それもしなくなります。よほど「気にして」、「時間もかけ」、運動に取り組まないと、あっという間に運動不足になってしまうということですね。このコラムの20人の読者様は運動充足してますか?(註5


1:「運動充足」とでもいうのでしょうかね。

2:ハーバード大学卒業者を対象に研究されたもので、1986年にNew England Journal of Medicineという重要な医学雑誌に記載された論文で定義。この2000kcalは成人男性の数値であったが、その後の調査で女性も同じ数値であると発表されている。この研究では運動不足の男性はそうでない群と比較したら各年齢帯で死亡する確率が31%高いことが判明した。

3:秋山説では運動の一番の目的は「血行を良くする」です。これには有酸素運動が必要。

4 公共交通機関が不足;治安の問題;高低差がある地形などのため。

5:運動不足になると、肥満になりやすくなる。メタボにも。そこから糖尿病や循環器系の病気なども。精神病とも関係あるぞ。痛み(肩こりや腰痛)も。不眠症も入るな。また、骨祖そつ症と大関係がある(これは別途ひとりごとします)。


すぐ、半年目、一年目、に注意が必要です。

By: Kazusei Akiyama, MD


Ipê Roxo. Amparo. Caju©2014

2012年10月

今月のひとりごと:『すぐ、半年目、一年目、に注意が必要です。』

皆様お元気ですか?気候が不順で、寒いのか暑いのかよくわかりませんね。この調子では体調の維持が大変です。さて今月のひとりごとで何の注意かと言うと、「当地に長期滞在する場合、体調不良になりやすい節目」についてです。開業も17年しているとサンパウロ駐在でいつ病気になりやすいかのパターンが判明してきます。

『*すぐに。これは当地に到着してすぐにということだな。大体1ヶ月以内なのだが、2週間目あたりが要注意だと思う。海外引っ越しの疲れやストレスと直結しているパターンだな。実質引っ越しは大変な労力を要するし、まして数年以上海外に転勤となると出発前に日本でやらないといけない業務が増える。大概この引っ越しは家族の内、妻が担当する事が多いので(註1)、この期間は女性が倒れる。小さな子供さんを抱えたお母さんや日本で仕事を持っていた妻(註2)が犠牲になりやすい。

*半年目。これは駐在3か月目から6ヶ月目の期間だな。実はこの期間が一番体調を崩しやすい。引っ越しの疲れがあり、新生活もまだ慣れず、ブラジルは治安が悪いと驚かされビクビクしているうちにぶっ倒れる。このパターンでは子供も含め家族のだれにでも起こり得る。

*一年目。これは1年ほど過ぎると、新生活にも慣れて、ホッとして気が緩み体調を崩すパターンだな。どちらかと言うと、お母さん方に多い。しかし、この一年目には、お父さん方が故障することがある。あまり診ないけど。その場合業務内容や人間関係など仕事と関連するストレスが高じて、病気になるのだ。症状が激しい事が特徴の一つかも。』

  • 1:夫は先に現地入りし、住居をはじめ生活基盤の手配などの担当がパターンかな。
  • 2:仕事の整理などで忙しい上に、引っ越しが

新生活の慣れなどと関係のある「病気」ですから、海外生活が長かったり、何度も駐在経験があったりする方や家族のほうがなりにくいですね。一番よく診る疾患はいわゆる風邪ですが、元々持病があったり、病気の傾向があったりする方はそれが悪化したり発症したりすることもよくあります。 したがって、初めてサンパウロ(あるいはブラジル)に駐在の方は要注意だと考えます(註3)。このコラムの20人の読者様は大丈夫ですか?

  • 3:人生の3大ストレスは「引っ越し」「離婚」「死別」とされるが、その一つであるため。

『また今月のひとりごとにも「ストレス」が出てきたぞ。ストレス自体は悪いモノではない。異常事態に対応する生理的反応であり、この反応のために我々の先祖は恐竜のランチになるのをふせげたのだ(註4)。だから適度なストレスは仕事などの効率を上げるが、極度になると疲弊して低下する(註5)。 反対に気が緩んでもよくない。じゃ~どうしたらいいの?と聞かれるのだ。適当に気が張った生活を目指す。これだな。』

  • 4 恐竜時代、捕食者に対してストレスを感じなかった哺乳類はあまり子孫を残していないはず。
  • 5 前者はeustress、後者はdistressと呼ばれる。

加湿器はこわいぞ!

By: Kazusei Akiyama, MD


A dry day in São Paulo. Caju©2012

2012年09月

今月のひとりごと:『加湿器はこわいぞ!』

このところ、サンパウロではずっと雨がふりません。この原稿を書いている時も、雨なし41日目です。これでは空気も乾燥しますね。先週は3年ぶりにすごく乾燥した日があり、湿度10%でした(註1)。このような状態が続くと、乾燥性皮膚炎や乾燥性結膜炎などの疾患が増えます。さらに日本を含む、湿度と温度が低い冬期の場所ではインフルエンザウイルスが繁殖します(註2)(註3)。空気乾燥の対策は室内を加湿することになります。しかし、ここに大きな落とし穴があるのです。

  • 1:砂漠なみの湿度です。因みにその日は診察室内で湿度32%でした。
  • 2:インフルエンザウイルスが繁殖するには、低温+低湿度+暗いの3条件が揃った状態が一番。ブラジルの場合、冬期の乾燥は晴れて(明るくて)乾燥していることが多いので、条件が揃う期間が北半球ほど長くないのだな。
  • 3:サンパウロの場合、この乾燥時期に光化学スモッグが出現するので、さらに結膜炎や慢性の呼吸器系疾患が悪化する状況になる。

『元々日本など冬が厳しい所ではストーブの上にヤカンを載せて蒸気を作っていたのだな。ところが加熱式加湿と呼ばれるこの方式(註4)は、火傷の危険があるということで、電気メーカー製造の「加湿器」が普及した。「超音波式」と呼ばれる器械で、熱を使わない、電力消費が少ない、安価ということで、パチパチ、素晴らしい!ように見えたのだが、これが実は恐ろしい器械であることがその後判明した。常温の水を使うため、水に含まれる雑菌や加湿器のタンクに繁殖するカビなどをまき散らし、病気をおこす。昔の蒸気方式は水を沸騰させることによって殺菌していたのだな。細菌を吸い込んで細菌性肺炎になったり、カビのためいわゆる「加湿器病」になったりする。後者は厳密な医学用語では「換気装置肺炎」(註5)で「過敏性肺炎」の一種と定義され、カビを吸入することが原因のアレルギー性肺炎だな。さらに、ブラジルの住宅は漆喰や煉瓦など吸湿性の高い建材で作られいるためいくらでも水分を吸収してくれる。そこからカビが発生し、さらに状況が悪化する(註6)。』

  • 4 家庭向けの器械の代表的な方式は:スチーム式(加熱、ヤカンと同じで電熱でも)、気化式(非加熱、濡れタオルと同じだな)、超音波式、ハイブリッド式(複数の方式で欠点を補う)。
  • 5 換気装置肺炎は加湿器関連と空調関連(エアコン病)がある。
  • 6 この場合、建材が水分を吸収する状況は加湿の方式と関係がない。日本では室内では防湿性の壁紙を使用することが多いので、建材の吸収が少ない。両方の場所で同じ器械を使ってみた方はタンクの水の減り具合が違うことに気づいているはずです。

『こうなると、なぜ加湿器を運転しているか解らなくなりますね。室内を快適にするのや、病気の予防などに使っているはずなのにかえって病気の元になっているかもしれません。』

超音波式の恐ろしいところは、清掃を仮に毎日しても、清掃と清掃の間の24時間で雑菌が繁殖するには十分という事実でしょう。なので、ちゃんとしたメーカーでは最近この方式での器械は作っていないそうです。医学的に一番よいのは方式はともかく、殺菌機能がついたものだと言えます。また、加湿する室内の湿度をモニターすることも重要です。患者さんの話を聞いていると、「加湿することは良いことだ」といった概念が一人歩きしていることが多々見られ、湿度と関係なく「なんとなく」運転している場合が結構あるのではないかと思われます。また夜中に喉が渇くといったような症状のため、就眠時に利用している方もおられますが、必ずしも乾燥とは関係ありません(註7)。高価なモデルになると、湿度計が付帯していて、自動的に運転の調整をしてくれるものもありますが、このコラムの20人の読者様の自宅ではどのような方式をお使いでしょうか?いずれにしても正確な湿度計で湿度の確認をすることは各家庭に必要でしょう。ちなみに人間が快適と感じる湿度は50%前後だそうです(註8)。

  • 7 口を開けて寝ているから喉が渇く事が多いぞ!
  • 8 70%あたりからカビが発生します。

健診する時期を誤ると、大変な事になるぞ

By: Kazusei Akiyama, MD


2012年08月

今月のひとりごと:『健診する時期を誤ると、大変な事になるぞ』

8月は一時帰国される邦人が多い月です。それで、その機会に健康診断を受診するというパターンがよく見られます。この場合の健診とは企業の定期健康診断のことですね。健康診断とは健康状態を評価し、健康の維持、病気の早期発見を目指すものです。そのために診察(註1)と各種検査が行われます。定期健診は法律で定められたものですから(註2)、皆さんきちんとされる訳です。日本に帰っている時に健診をするのはよく考慮して実施すると問題ないのですが、「ついでに」受けたりすると大変な事になりねません。

『健康状態とはその時の状況によって変化するものなのだな。あたりまえだけど。状態がよくない時であったり、また、一時帰国して連日会食など、普段の生活とは違う状況であったりすると、間違った評価になる。企業健診というものは「やって、はい終わりです」ではなく(註3)、所見により再検査だの治療だのいろんな展開が起こされるので、場合によってはとてもややこしい精密検査などになったりしてしまうのだ。また、医原病も怖い。医療を受ける(この場合、検査だけにしても)事による体調不良の出現や医療事故なども十分ありうる。一番よろしくないパターンは、当地での駐在員が業務関係で日本出張し、その機会に「ついでに」健診するのだと考える(註4)。』

実例をあげます。業務報告のため東京出張されたサンパウロ駐在員の例です。あまり内容が芳しくない報告のため、本社での会議でご本人曰く「3日間メタメタにやられ」、その直後に健診を受診されました。その結果、不整脈をはじめ、心電図や循環器系の検査でひっかかり、精密検査となりました。サンパウロに帰着後検査する事になったのですが、受診時にも不整脈がみられ、心臓内科での診察の結果、運動負荷をかけた心筋シンチ検査(註5)や冠動脈造影(註6)を実施する事になりました。結果はすべて問題なしで、結局元々心臓系に問題のない方であったので、会議の負担や健診結果を見て、ストレスが上昇したための所見だったのです。 おそるべしストレス!ここで注目したいのは、不要な検査を受けたであろうということです。平常であれば、健診にひっかからなかったのではないかと十分考えられます。精神的負担も不要、時間・費用的に不要、また検査にはリスクを伴うもので、これも不要ではなかったでしょうか?

『健診というと軽く考えていたり、おざなりに済ましていたりしてないだろうか?医者側は健診の企画をするにあたり注意すべき項目が多々あるが(註7)、受診する側もそれなりにちゃんと考えて受けないと、不本意な結果と展開になる可能性があるぞ。日本で健診を受けるのもいいけど、状況的や時間的にややこしい場合、サンパウロで健診することを考慮するほうがよいと思う。サンパウロにはちゃんと健診が出来る医療機関があるのだから。』


1:この「診察」というのが実は健診で一番重要な項目である。診察時の問診と身体検査で患者さんの体調や傾向、生活習慣や家族歴などから来る疾病リスクなどの見当をつける。でもほとんどの健診サービス、「診察」のウェイトが少ない。

2:日本の場合、1972年の労働安全衛生法によって規定されている。2007年に大幅に改正された。

3:やってはい終わりだったのだな。それでは「はい、良いですとか悪いです」と状況把握しかできてなかったので、悪い場合改善行動も伴うべきと改正があった。これがいわゆるメタボ健診の始まりだな。

4 反対に健診するために日本出張することもあるが、これは問題ないのでは。

5:運動負荷(走ったり、自転車を漕いだり)をかけながら、心臓の筋肉に特異的に付着する放射線物質を投与し、これを測定する。心臓の血流が悪いと、付着しない。

6:脚や腕の動脈から細いカテーテルを入れ、心臓の冠動脈までたどり、造影剤を入れながら、撮影する。狭窄部分などがあれば画像にでる。

7:健診の企画についてはまたの機会にひとりごとします。