2018年度南半球インフルエンザウイルス予防接種予約受付開始

By: Newsroom CKA


2018年度南半球インフルエンザウイルス予防接種予約受付開始

1997年より続いている当院の季節キャンペーン、2018年度南半球インフルエンザウイルス予防接種の予約受付を開始いたします。

予約は先着順。お電話、メールにて受付いたします。ご予約はこちら

接種は5月に入ってから行います。

今期のインフルエンザワクチンの内容は次のとおりです。
A/Michigan/45/2015(H1N1)-like
A/Singapore/INFIMH-16-0019/2016(H3N2)-like
B/Phuet/3073/2013-like

 

インフルエンザウイルス予防接種に関するご案内およびQ&Aはこちらをご覧ください。


 

ブラジルの商業ビルの入館方法

by: Helpdesk CKA

Nihon no jinja no yane. Osaka. Caju©2018


当診療所は商業ビル内の2階にあります。

車を乗り捨ての場合、地階に車寄せがあります。入り口はビル前の「86」表示の右側です。


駐車場から入館の場合、地下1階で駐車サービスに車をお預けいただき、エレベーターで地階=0階までお越しください。


徒歩の場合、クバトン街、サンパイオ・ヴィアナ街、いずれからも入り口があります。


地階受付でブラジル国のIDカード(RNM(旧RNE)や運転免許証)や日本国パスポートなどをご提示いただき、208号室へのご来客である旨お伝えください(ポルトガル語:vou no conjunto duzentos e oito「ヴォウ・ノ・コンジュント・ドゥゼントス・エ・オイト」)。スマホではこのページをご提示いただけます。

初回は来客登録のため、受付で顔写真を撮られます(次回からは登録されたID番号を口頭提示だけで入館できます)。

登録後、受付の右側ゲートで顔認証でゲートを通り、エレベーターで2階までお越しください。場合によっては入館カード(コンビニのレシートみたいな紙)を渡されますのでゲートのQRコードリーダにかざしてゲートを通過してください(入館カードを渡されなかったら顔認証で出入りです)。

秋山一誠診療所はエレベータを出て、、また左、廊下の奥の右側ドアです。消火器の前。

退館は地階(0階)でエレベーターを降り、向かって右側ゲートで顔認証または入館カードのQRコードでゲートを解錠します。入館カードを渡された場合は退館に必要ですので無くさないようにお願いいたします。

駐車場はゲートを出て左側にある専用エレベーターで地下1階(-1階)にあります。


2016年~2017年年末年始休暇のお知らせ

By: Helpdesk CKA


2016年~2017年年末年始休暇のお知らせ

秋山医師は12/26~1/19の間夏期休暇をいただきます。診療の再開は1/20(金)よりです。
菅山医師の夏期休暇の予定は2月下旬~3月上旬です。年末年始は診察可能です。
診療所スタッフは12/31と1/1以外出勤いたします。


 

リオ五輪とジカ熱など感染症の影響

By: Kazusei Akiyama, MD

一般社団法人日本ブラジル中央協会の会報、ブラジル特報2016年5月号に載った記事です。PDFはこちら

リオ五輪とジカ熱など感染症の影響

ジカ熱とは?

世界保健機構(WHO)が今年の2月1日にジカウイルス感染症(以下ジカ熱)に関する「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態、PHEIC)を宣言した(註)。これまでPHEIC指定された事態は4件しかない。3件目のエボラ出血熱は非常に死亡率の高い疾患であるので、その措置は簡単に理解できる。しかし、2年ほど前までは「軽いデング熱」といった位置づけの疾患であったジカ熱がどうして今回の宣言に至ったか考察してみたい。ジカ熱は1947年にウガンダのZikaと呼ばれる熱帯雨林で発見された、黄熱ウイルスやデングウイルス、チクングニアウイルスと同科のフラビウイルス、ジカウイルスによるヒトへの感染症である。これらフラビウイルスはネッタイシマカに代表されるヤブカ属の蚊によって媒介される。感染した人口の2割程度が発症する。潜伏期間は数日から10日程度とされ、発熱、発疹、頭痛、筋肉・関節痛、結膜炎、倦怠感が1週間程度で収まる。これだけであれば普通の風邪とあまり変わらないのだが、去年の半ばより、ブラジルのジカ熱流行地域に小頭症の新生児が大量に報告された。これにより、11月にブラジルの保健省がジカ熱と小頭症の関連性を認知した。さらに一部の感染後患者にギランバレー症候群の合併症が報告されている。今年1月時点では、この関連性を否定する意見が多数みられ、学術界では慎重論が大半であった。しかし、ブラジルに次いで大流行が発生しているコロンビアでも同じような傾向が見られる事や、この数ヶ月での研究解明から、3月末のWHOの見解は「ジカウイルスが小頭症、ギランバレー症候群、その他の神経障害の原因である事実に対して高度な科学的コンセンサスが得られる」と変化した。罹患数だけを見ると、デング熱が圧倒的に多いのであるが、ジカ熱の問題は合併症が長期に渡る状態(ギランバレー)または不可逆的かつ重症である状態(小頭症、視覚や聴覚の障害)を起こす所にある。神経毒性が同科のウイルスと明らかに違う。診断は臨床的診断と血液検査による。治療は、急性期も合併症のどちらも、なく、対処療法を施す事になる。そのため媒介昆虫のコントロールがこの手の病気の予防の根源になる。30日ほどの寿命の成虫の駆除も必要だが、幼虫(ボウフラ)が孵化しない環境を作るのが重点となる。ジカ熱感染地域で生活するには蚊に刺されない対策が必要である。この方向で予防が確立すると思われたが、性感染が蚊による感染より重要ではないかという根拠が現れだした。研究と開発は盛んに行われており、96カ所にのぼる研究機関が進めているものは、現時点で、診断関連31件、ワクチン27件、治療関連8件、媒介対策10件である。解明している物を挙げる:ブラジルのジカウイルスは2013年のコンフェデカップあたりに上陸した;感染伝播速度は同じ蚊を媒介するデングウイルスの5倍である;小頭症出産の確率は感染した妊婦の内、100件に1件、1%であった;他のフラビウイルスと比べ、胎盤関門を通過しやすい;妊娠の初期3ヶ月間胎児に多くある神経幹細胞の表面に豊富なAXLレセプターを経由して細胞内に入り破壊してしまう;ウイルスの生存時間は血液より精液の方が長い、罹患歴有りの男性から女性へ性感染が認められる、など。

ブラジルの現状

3月末の保健省統計では、2015年10月以降745件小頭症が確定診断されている。ブラジルの例年の小頭症件数は生産児1万人あたり0.5~1人であったのが、6.4人に急増している。全州で感染が確認されており、これまでの北東地方の流行がリオやサンパウロに南下するであろうと考えられている。これらの状況に対し、政府当局の対応は迷走状態としかいいようがない。蚊の幼虫駆除のため、全国全世帯戸別訪問を掲げたり、妊婦に虫除けを配布すると発表したが立ち消えになったり、個人の自由に触れるとの事で一時出した避妊勧告を取り消したりと、多数の根拠が挙げられる。当地は2年以上前より、経済政策の失敗による財政破綻、汚職問題で政権弾劾にいたる政治不穏、結果として税収減となり、まともな医療政策を実施する財源がないのが現状であろう。残念であるが五輪開催地のリオも例外ではなく、今年の3月22日までのリオ保健当局のまとめによるとチクングニア熱235件(去年の同期はゼロ件)、ジカ熱4289件(去年の同期はゼロ件)、デング熱28611件(去年の同期の2倍強)報告されている。ジカ熱はブラジル滞在中に感染し、持ち帰る心配があるが、デング熱とチクングニア熱は強い症状がでるので、滞在中に発症するとつらい病気である。予防原則を元にした医学的な意見は不可逆的な結果を起こす状況が無知数である上に、ブラジルの混乱した現状を勘案すると、WHOが出している勧告、「流行地域(ブラジル)への妊婦の渡航自粛」を一歩進めて「必須関係者以外は五輪参加を自粛したほうがよろしいのではないか」と言わざるを得ない。都合で渡航される方は蚊に刺されない予防策と性感染しない予防策(以下避妊とは、コンドーム使用あるいは関係を持たない事)が必須である。また、カップルは感染者同士でなくてもブラジル滞在中は避妊、ブラジル滞在した男性は感染した場合、症状開始後6ヶ月間避妊、感染しなかった場合でも帰国後最低8週間避妊が現時点での一番の安全策といえよう。

2016年4月4日執筆


 

 

サンタクルス病院建設における中核組織「同仁会」

Yama to Kawa. Hyogo. ©Caju 2010

By: Kazusei Akiyama, MD

サンパウロ市の日系病院、サンタクルス病院の設立70周年記念冊子(2009年)に記載された文章です。日本国の情報開示法律で閲覧できるようになった昔の外交資料を研究してみたのもです。昔のブラジルの医療事情の一端が見えます。2009年5月15日執筆。

サンタクルス病院建設における中核組織「同仁会」

日本国アジア歴史センター外務省外交資料館で覧られるサンタクルス病院関係資料は他国の日本病院関係資料とくらべ大変豊富であり、病院建設の経過は二宮正人博士の原稿のとおりである。国立公文書館の資料を閲覧すると、在ブラジル邦人の当時の衛生状態、医療事情を垣間見ることができ、病院建設に至る医療事情について少し考察したい。

在外邦人の一番の不安は生活面以上に健康であったことは昔も今と同じであることは容易に考えられる。サンパウロ州の広大な土地に散開して入植したため、当初は現地の医療機関に頼らざるを得なく、病気の不安に加え語学の問題も多々あったと思われる。特に各地の慈善博愛団体であった(今でもある)サンタカーザ・デ・ミゼリコルジアへの提携が資料随所に認められる。多く見られる病名は「トラホーム」、「マラリア」、「チブス(チフス)」、「赤痢」、「肺病(肺結核)」など、伝染病であった。

在伯邦人の健康衛生を組織的に管理したのが1924年に設立された在ブラジル日本人同仁会(以下、同仁会)であった。サンパウロ日本病院つまりサンタクルス病院はその後落成時点ではブラジルで最先端を行く医療機関になり、もちろんブラジル社会にいろんな面で貢献するにいたる。しかし、発端は安心して邦人が利用できる施設の確保ではなかったかと筆者は愚考する。病院建設にあたり、皇室より御下賜金があったことは周知の事実であるが、その詮議にあたり、邦人社会事業優良団体の選定で1933916日付けで在サンパウロ総領事内山岩太郎氏が外務大臣廣田弘穀氏に送付した「在ブラジル日本人同仁会に関する調査要項」で同仁会が紹介されている。

在ブラジル同仁会の事業の種別

1. 医療器具および薬品の無料若しくは実費配布

2. 薬剤師、助産婦、看護人及び看護婦の養成

3. 衛生指導の印刷物無用配布

4. 農村衛生講習会及び講演会開催

5. サンパウロ日本病院並びに肺療養所の建設

6. 地方へ医師派遣

7. 無料診察

この要項には1932年度の数字が記載されている。それによると同仁会の収入の74.4%が外務省医療施設費補助金であり、在外邦人の健康政策を担っていたと考えてもよいであろう。その中でトラホーム治療の費用が群をぬいている。事務所内健康相談所は年間5030人の利用者があった。業務内容は無料診察、疾病及び衛生上の相談、サンタカーザ入院の手続き、糞便無料検査があり、通信により疾病及び衛生に関する質問に回答する衛生相談所も開設されていた。家庭常備薬箱無料配布プログラムもあったようだが、これはロジッスティックの問題で頓挫したもようである。医薬品の配布は1のとおりであった(在外本邦人社会事業関係雑件 第一巻 6.伯国、18ページより抜粋)。衛生指導の印刷物は高岡専太郎医師の著書が有名である。巡回診療は邦人集団地方医療巡回班によりバウルー医局、リンス医局、サントス医局、プ・プルデンテ医局から組織され、1934年以降はレジストロ、セッチバラス、バストス、チエテなどにも医局が設立された。また、ブタンタン研究所との提携があり、各地での予防接種事業でチフスと赤痢予防注射が実施された。

これらの資料は病院設立以前の医療事情の歴史的証人である。先人達の苦労と需要、健康に関する情熱を伝えてくれるものであり、サンタクルス病院存在における初心を忘れないようにしたいと改めて思う。

 

秋山 一誠、サンタクルス病院医局員

Dr. Kazusei Akiyama, Médico do Corpo Clínico do Hospital Santa Cruz