By: Kazusei Akiyama, MD
2016年10月
今月のひとりごと:『ブラジルに塩辛持って来られます(かな?)。』
サンパウロは春になりました。まだ寒かったり暑かったりで体調がおかしくなりそうですが、このコラムの24人の読者様(註1)はお元気でしょうか?当地は日本の四季のようにはっきりしてないのでどちらかというと、「気がついたら暑くって雨が増えたので夏だった」感じですね。メリハリがない(註2)。
今月は気がついたらそうなっていた事のひとりごとです。今年の5月10日に発令されたブラジル国農務省(註3)の省令第11号(註4)の農務省規則についてです。これは旅行者がブラジルへ入国する際、動物性食品の持ち込みを解禁したのですが、やれ大統領弾劾だ、五輪だ、ジカ熱だ、ISISテロだ、でニュースの中に埋もれてしまった感じです。調べてみたのですが、どこにも載ってない…
『これまでは肉製品、卵製品、乳製品、魚介製品は持込禁制品だったのだ。日本からこちらへ来る時、税関で食料品を没収された経験のある方は多いではないかな?一時帰国なり、旅行なり、日本に行って何を持って帰るかと言うと、まず食品ですよね。インスタント物は当地でも売ってるから、無いもの、マルの鰹節、干物、蒲焼き、佃煮等々や賞味期限の短いスイーツなどでしょう。「楽しみにまっている孫に」と遊びに来た爺婆が泣いても没収!え~どーして?と言っても、国の規則だったので(註5)仕方がない…なかったのだな。
では件の規則の紹介です:
旅行者の手荷物で人間の食用あるいは家畜の食用であれば、次の製品を解禁:
①人間用肉製品:一人10㎏まで。商業的に滅菌された加工品。煮物や干物。エキス。サラミ、ハムやベーコンなど。鶏ガラ出汁粉末など。
②人間用乳製品:一人5㎏あるいは5リットルまで。チーズ、バター、ヨーグルトなど。粉ミルク、ロングライフミルク。エキス。
③人間用卵製品:一人5㎏まで。液体卵や粉末卵など。卵ジャム。
④人間用加工魚介類:一人5㎏まで。干物。塩漬け。燻製品。
⑤人間用乳製品、卵製品、肉製品を含む製菓:一人5㎏まで。クッキーなど。
⑥家畜用食用動物製品:一頭5kgまで。エサやおやつ。
⑦観賞用動物製品:一人5個まで。(註6)
入国の際、これら製品は商業用のパッケージに梱包されており、かつ、未開封であることが必須です。また、持ち込んだものはブラジル国内で販売禁止されてます(註7)。用心深い方は規則を印刷して、通関時に持っておくのも良いでしょう(註8)。
『商業用パッケージ云々は「そのラベルにより、内容を識別できるように」となってるが、日本語での標記で大丈夫かなと考えてしまった。ま~でも、税関が明らかにユルくなったのは間違いないと思う。これで堂々とうなぎの蒲焼きを持ち帰れるぞ!』
註1:そうなのです、読者様がお二人増えたのです。深謝!
註2:ま~なんでも比較の問題ですが。同じブラジルでもアマゾンにいくと熱帯気候で現地のひと曰く、四季ではなく二季しかないそうです:「暑い」と「くそ暑い」。
註3:Ministério da Agricultura, Pecuária e Abastecimento、直訳すると農牧業と供給省、日本の農林水産省にあたるが、ブラジルの場合、水産業はMinistério da Pesca、漁業省なるものが存在し、別扱い。弾劾裁判を経て8月に罷免されたルセフ政権では39省あったのだ!政権交代で24省”まで”減った。
註4:ポル語ではInstrução Normativa Nº 11 de 10 de maio de 2016。
註5:特にブラジルが鬼のように厳しい訳でもない。このようは措置は農牧業に関連する疫病検疫と関係があるのだな。だから、生の肉類は解禁されていない。日本でも家畜伝染病予防法と植物防疫法で持込規制があるぞ。
註6:これがよく分からない。毛皮の敷物とか?
註7:あくまで旅行者の手荷物に関する省令で、商業用の輸入業務とは異なります。また、郵送品には適応されませんのでご注意を。
註8:規則が載っている官報のリンク:http://pesquisa.in.gov.br/imprensa/jsp/visualiza/index.jsp?data=11/05/2016&jornal=1&pagina=18&totalArquivos=184