By: Kazusei Akiyama, MD
2014年04月
今月のひとりごと:『美容形成するならブラジルで、でしょう』
サンパウロではカーニバルが終わり、ようやく2014年が初まった感じです。(註1)カーニバルと言えばリオが有名ですが、サンパウロもなかなかレベルが高くなっているらしいですね(註2) 。22人の読者様の内、パレードに参加された方はいらっしゃったのでしょうか?また、サンパウロでは一時期姿を消していたbloco(ブロッコ)様式の遊びが本格的に復活したようです。これは楽団とともに街を練り歩くタイプのいわゆる昔式のカーニバルですね。日本の町内単位で神輿を出し、お祭りに参加するのに似てるのかな?でも本番の2週間ほど前から練り歩きがあったので、変な交通渋滞が起こってました。
カーニバルに関するひとりごとは2011年3月にシリコンオッパイについて書きました。今年も相変わらず立派な人工オッパイが会場を圧巻していたようですね。2011年後半に世界の最大手が製造していたシリコンインプラントが粗悪品のため、事故や死亡例、そしてフランス政府がその会社製品のインプラントの置換勧告を出し、一時該当する女性がパニックになる騒ぎがありましたが(註3)豊胸手術は相変わらず人気が高いですね。前にも書きましたが、社会の美容形成手術に対する概念がすっかり変わったのは間違いないでしょう。
『見た目を追求する社会になっているのだろう。「こうあるべき!」といったメディアのプレッシャーを感じるよねぇ。そこに「即席幸福」(註4)が絡み、直ぐに結果が出せる美容形成が流行るのではないか?総論でいうと、「悪くなるのがわかっていれば、それを避ける」のではなく、「悪くなるのがわかっていても、即席幸福であればよくて、悪くなった時に治す」感じかな。手術ではないけど、シミ取りのエステを例にあげると、シミにならない様に注意するのではなく、なったら取ればいいじゃんといった方向にいってるように思う(註5)。しかし反対に、見た目を気にする反面、周囲の見た目を無視する社会現象も起こっている。例えば、日本で電車の中で化粧をしているあれだな。だからだれの見た目というと非常に狭い範囲のものになるのでは?でも、要するに最終的に美容形成は「自己満足」の世界だから(註6)自分がよければそれでいいのではないかと思うが。ただし、行き過ぎると「身体醜形障害」という精神科の病気(註7)に当てはまるので注意しましょう。』
22人の読者様の一人に「形成手術をすると後で判るか?」といった質問がありました。回答は「医者であればすぐに判ります」です。また、すぐには判らなくても、歳いってから… それでまた手を入れる事になるのですな。けど、今、幸福になれば良いのでは?だったら、技術が上手いブラジルでしない手は無いですよ。
註1:そうです、当地は年末年始が夏で、直後に夏休みに突入し、終わったら今度はカーニバルで浮かれた感じになり、これらが一通り終了しないと新年が始まらないのです。旧暦の新年と思えばいいか!
註2: 「らしい」というのは、筆者はカーニバルを楽しむ年齢層ではなくなっているので関心がないのです。体力がないとも言われますが。とほほ。
註3:フランスのPIPという会社が作っていた。全世界で30万個使用され、ブラジルでは2万5千個使用。外壁が破裂しやすく、内部のジェル状シリコンは医療用ではなく、工業用のもので生産されていた。社長とトップ四人が逮捕と有罪判決を受けて、会社は倒産した。
註4:筆者の造語です。「今、すぐ、できればずっと、幸福でないといけない」といった現代のニーズ。
註5:シミ取りエステの技術を批判しているのではないぞ。
註6:美容形成を薦めるにあたり、一番大きな効果はimprove self-esteemとされる。直訳すると「自尊心の向上」、大辞林によると自尊心は「自分の人格を大切にする気持ち。また、自分の思想や言動などに自信をもち、他からの干渉を排除する態度。」だがこの場合は「自分を好きと思う気持ち」であろう。つまり、自分で良くないと思っている状態が良くなり、幸福になる。
註7:今は亡き歌手のマイケル・ジャクソンが典型的な例。