ブラジル人の運転は絶対に信用してはならない。

By: Kazusei Akiyama, MD


2012年03月

今月のひとりごと:「ブラジル人の運転は絶対に信用してはならない。」

今回はかなりきついひとりごとですね(註1)。でもちゃんと理由があるのです。現地のむちゃくちゃな交通事情は交通事故に直結しており、事故は医療と関係があります。傷害例は治療の対象になり、死亡例は死亡統計に計算されます。事故は医学では外傷と呼ばれ、これらの数字を公衆衛生の観点で解析して公共政策を立てるわけです(註2)。一般的に先進国になるほど、「外傷」による死亡原因が減ります。ちなみにブラジルでは2000年の公式統計では外傷が第4位です(註3)。また、外傷の内交通事故死より他殺死(殺人など)が多いのも先進国でない一つの証明でしょう。しかし近年の好況で自動車が増え、運転する人口も増え、交通事故が「疫病」と認定されるまでになりました(註4)。

『こういったところでブラジルの教育不足・不良が顕著に表れたのだな。運転免許を取るのにautoescolaなる教習所に通う義務があるのだが、形式だけだな。金をだしてパスできるし。だから運転技術が未熟であるし、体系立てられた方法でもない。また、交通規則(註5)を学習・理解していない。したがって、対向車線や交差点など「相手」が必然的に存在する交通では「むこう」がなにするのか分からないし、読めない。これだけでも大変なのにブラジル人特徴である「責任は他人のもの(註6)」と「上手いことやる(註7)」が背景にある。さらに、社会整備がちゃんとしていないので、運転しにくい(註8)。これだけあると表題のひとりごとになるのだ!』

当地の自動車運転は筆者の観点から見ると非常に大きな欠陥があると思います。 とにかく、あぶない。絶対に他人に頼ること、つまり「譲ってくれる」や「規則を守ってくれる」のを期待してはだめです。だれも責任とってくれません。それより怪我したり死んだほうが損です。カーニバルの期間中の取り締まりでは去年に比べ、飲酒で引っかかったのが5倍に増え、サンパウロ州では死亡が29%増加でした。ブラジルでは運転はよほど自信がない限りやめたほうがいいのでは?それで、する場合「あつかましく」運転するのがコツです(註9)。

『最後にブラジルでしかありえない交通事故の筆者の実例です。筆者はスクーターに乗るのですが、サンパウロのイビラブエーラ公園前の信号での出来事です。信号が赤になったので先頭で停車線で止まりました。同じ車線の前を行っていた車は信号を無視して、横断歩道をさらに2メートルほどの所で「上手いこと」信号をパスしてやろうと狙っていたのですが、不運なことにCETの車(註10)がこの赤信号で横に停車したのです。悪い事をしていると分かっている前の車はバックを始めました。「まさか停車線までバックしないよな」と筆者は思ったのですが、どんどん来ます。「うそだろ~」。それでピッピ~とクラクションを鳴らしたのです止まりません。ピッピッピ~。でも止まりません。ぶっつかっても。むこうはどんどんバックします。仕方ないので車体を蹴っ飛ばしました(凹みました)。これでやっと止まり、「いったい何だ?!」と怒ってお兄さんが車から降りてきたのですが、開口一番「おまえはバックをしているのを見ていなかったのか?バックライト点いているだろう。」でした。』


1:また自動車の話ですね。

2:医療費に関する国家予算と関係があります。

3:ブラジルの死亡原因(2000年)1心疾患、2不明な原因(冗談では無いです)、3癌、4外傷。比較すると日本では1癌、2心疾患、3脳血管疾患、4肺疾患です。原因の構築の違いが分かります。

4:ブラジルの交通事故死の原因トップ3:1轢死(歩行者がひかれる)、2全面衝突、3二輪の事故(バイクがこけて自滅する)

5 1997年に公布されたブラジルの交通規則自体は世界的に見ても進んでいると評価されているのだが。取り締まりが不良でしょう。

6:それで「権利は自分のもの」なのだ。

7ser espertoというやつだな。

8:道路標識が不良であったり、車線がいきなり無くなったりするでしょう?

9:日本人の様に「他人の迷惑を考えたり」「人様の事を思いやったり」してはだめです。

10CETはサンパウロ市の交通整備機関で違反切符を切れる。