美女でも…どうしても冷めた目で見えてしまうのだな。第二弾

By: Kazusei Akiyama, MD


Can I go there? São Paulo. Caju©2010

2011年03月

今月のひとりごと:『美女でもどうしても冷めた目で見えてしまうのだな。第二弾』

お~。先月からこのひとりごとで続けるとは?ネタ切れ!とこのコラムの22人の読者様に思われても仕方ありませんね。今月はカーニバルがあるのでそれにちなんだ内容です。美女なモレーナがたくさん出てくるでしょう?例えばエスコーラジサンバのハイーニァダバテリア(註1)の紹介等にに名前年齢出身地や身長スリーサイズがありますが、よくみると300mlとか400mlと容積が明記されている事があります。これが今回の「冷めた目」です。そう、豊胸手術で使用されたシリコンインプラントの大きさなのですね。

  • 1Rainha da Bateria de Escola de Samba. 直訳すると「サンバ学校の楽団の女王様」ですな。男ばっかりの楽団の花の役割。

日本人でなくてもギョッとする明記ですが、ここ20年で美容形成手術に関する社会的概念がすっかり変わったのではないかと思われます。美容形成手術が世界で二番目に多く行われているこの国ですが、これには事情があります。その一番がトロピカルなお国柄肌を露出する機会が多いため美容に関する意識が違う、二番が当地の外科医の腕が世界基準から見ても高い、三番が比較的安価で処置を受けられる、だそうです(註23)。

  • 2:一番多いのが米国。
  • 3:これには文化的な違いがあると愚考する。庭園が良い例で、フランス式や英国式庭園は自然を人工的な形に作り上げるが、日本式や中国式は自然を模擬する。つまり、欧米文化では自然は支配するものであって、東洋文化では共存するものであると考えるのではないだろか?それがこの様な行動にも表れると思う。

早い話、ブラジルでは立派なおっぱいはまず人工と疑っても間違いない。それほどポピュラーな処置になってる。 毎年10%の成長率だそうだ。このまま進むとブラジルの美女は美容手術の作品になってしまうのでは?ちなみに2009年度の調査では年間645千件の形成手術が行われ、約7割が美容外科であったのだな。元々形成外科とは傷や変形をきれいに治すのが目的の専門であるのだが(再建外科と呼ばれる)、美容外科の需要が多いのが現状。最近一番多いのがくだんの豊胸手術で約24%、次が脂肪吸引で約15%。ブラジル形成手術学会によると1990年代までは乳房の手術は縮小がほとんどだったそうだ(註4)。堂々とシリコンインプラントと言えばオカマがするものだったと記憶している。それが最近は女性がして当然の様子になってきた。それも爆弾タイプがいいらしい。インプラントメーカーの話によると当地では乳癌の手術後の再建に使用される自然な形の物ではなく、「尖った、オカマ好みの」ものが圧倒的に需要があるとの事だな。あちこちいじる(註5)のは本人が納得しているからいいと思う。見た目が良くなる以上に自尊心が向上するのが一番の効果だろう。医学的にみて問題点や副作用(註6)などもあるけど、ブラジルのちゃんとした病院では確かに外科の腕はいいので最近は医療ツアーが組まれているのも社会現象だな。関心のある方はブラジルでの手術は要検討ですぞ。ちなみに筆者は人工おっぱいは嫌いです(註7)。』

  • 4:ごく最近まではブラジルの美女像は「胸が小振りでおしりと太ももが大きい」だったのだな。服装もその体系に合っていたし。いつから変わったのだろう。
  • 5:その他の美容外科処置の上位部位は:腹部、目蓋、鼻、顔全体、耳。
  • 6:シリコンインプラントの一番大きい問題点は耐用年数です。最近は破裂しても流出しない材料や施術方法などの進歩がありますが 一生ものではありません。副作用としては皮膚の縫合痕が残る場合があるのと、インプラントの周囲に炎症がおこり、組織が硬化してしまう、痛みがあるなどです。またこの慢性の炎症のため希にガンの誘発原因になっているのではないかと指摘されてます。
  • 7:さわると痛がるし、それ以上に冷たい(血流がないから周囲の生きた組織より温度が低い)のが嫌いだな。