サンパウロのサラダは食べられるぞ

By: Kazusei Akiyama, MD


Haemulon sciurus. Fernando de Noronha. Caju©2009

2009年11月

今月のひとりごと:「サンパウロのサラダは食べられるぞ」

海外で生活していると心配になるものの一つが衛生環境です。世界でもトップクラスの衛生状況にある日本から出ると、同等以上の所はそうありません。いうまでもなく、ブラジルは同等以下です。なので不安になって出来るだけ輸入食材を使用されている方も多々おられるようです。

味にこだわり、調味料など日本製を使うのはともかく、安全でないから現地のものを使わない、といった考え方だな。 極端になると、輸入品のレトルト食品や冷凍物、インスタント食材しか使わないケースも診たな。危険だから生野菜を食べないので健康に悪い、先生なんとかなりませんか、とか言った相談も結構あるぞ。確かに日本ほど衛生環境が良くないにしても、疫病が流行っているわけでもないし(註1)、スラム街に住んでいるわけでもないだろうに。まわりを覧ればわかるでしょうが!稀少なケースではブラジルの農薬は大丈夫でしょうかと言うのもあったな。でも昔のように蛔虫や蟯虫の様な寄生虫の類は普通に生活していればもうほとんど無いと考えてもいいと思う。ラムブリア鞭毛虫やまれにアメーバ、エンドリマックスなど、原虫はいるな。これらには消毒が有効なのだな。』

  • 註1:2022年後半に加筆:疫病が流行ってました、新型コロナ。

2年ほど前に日本で問題になった「産地偽装」や「賞味期限の張り直し」などは「食に関する安全は行政が監視監督してくれていると疑わない」と盲信すべきではない良い例だと思います。安全は他人任せにせず自身で確保するものです。

『たしかにブラジルの野菜は虫が多いし、見た目も日本ほど綺麗ではない。痛み易いし。しかしこれは反対に考えると、日本ほど農薬や抗菌剤、保存剤を使ってない証拠だろう。つまり、ちゃんと目利きをしたら取れたての新鮮な野菜を入手することが可能なのだな。虫がすでに毒見してくれてるし。洗浄済み・消毒済みのパックも売っているけど、やはり自分で判断して買ってきた物を処理するのがこのご時節にはあっているのではないかな?農薬に関しては、野菜の種類によってどうしても多いものがあるので、このあたりも各自勉強すべきだろう。でも自給自炊をしないで都市部に住んでいる限り、ある程度の農薬に曝露されるのは仕方がないのだろうな(註2)』

  • 註2:野菜の目利きのしかた入門:全体にハリがある、関係のない斑点などがない、虫食いなどがない、大量に出回っているもの、が新鮮です。

では最後にブラジルでの生野菜の消毒方法を紹介します。一番「薬品らしい」のがスーパーや薬局に売っている「消毒用塩素」(hipoclorito de sódio、使い方はパッケージに表示してあります。水道水1リットルあたり1滴や5滴など商品により違うので要確認)を利用する方法です。同じように効果があり、簡単かつ安価が「料理酢」(vinagre de vinhoなど、スーパーで売っている一番安い物で可)です。この場合、水道水1リットルあたり、大さじ1~2杯の料理酢を入れ、すでに一回水洗いした生野菜を15~30分漬けます。トマトなど、皮が付いたものは消毒前にココヤシ石鹸(sabão de coco)とスポンジで洗います。ちなみに塩素は消毒した野菜をあとでまた水洗いする必要と手間がありますので、拙宅では料理酢を使ってます。料理酢の場合は、漬けてある液体から揚げたらそのまま消費できます。